2020年4月17日
日刊自連載「整備業界の現状と展望 19年度版整備白書を読む」②ディーラーと専業の格差
日本自動車整備振興会連合会(日整連、竹林武一会長)の2019年度版「自動車整備白書」では、ディーラーの整備売上高の伸長が目立った。19年度の総整備売上高5兆6216億円のうち、ディーラーは同2・8%増の2兆7672億円を占めた。一方の兼・専業は同0・8%増の2兆6274億円。ディーラーは3年連続で整備売上高を伸ばすとともに、2年連続で専・兼業の整備売上高を上回った。
作業内容別整備売上高で見ても、ディーラーの躍進が際立つ。車検整備売上高が全体で同0・9%増の2兆2205億円とプラス。業態別では専・兼業が同0・05%増の1兆2084億円だったのに対し、ディーラーは同2・1%増の9077億円と伸び具合が異なっている。顧客の取り込み強化やメンテナンスパックの拡販が売上げの増加に結び付いたと日整連は分析する。
最近ではディーラーがユーザーの囲い込みを強めており、さまざまな入庫促進策を展開する。こうした動きが結果として反映された格好だ。とくにディーラーでは、車検入庫時にオイルや消耗品などの部品交換を推奨しており、平均売上高が上昇している。こうしたことが売上高の向上に結び付いた。
売上高では2年車検が73・2%を占めている。2年車検の平均単価では専・兼業が同4・4%減の4万7562円、ディーラーが同1・1%増の7万4001円。1年車検の平均単価は専・兼業が同3・3%減の8万5267円、ディーラーが同5・6%増の14万3353円と明暗を分けた。いずれも専・兼業がマイナス、ディーラーがプラスとなるのは2年連続となる。
市場全体では短時間車検やメンテナンスパックなどの割安な商品の拡販により、1回当たりの整備費用が減少傾向にある。ディーラーが善戦している背景には、1年車検の対象となる車両の中でも大型貨物車の販売増やその取り込み強化にある、と推察している。
車検整備での1事業場当たりの入庫台数は同2・9%増加したが、平均単価は同1・8%減少し、売上高は同1・1%増となっている。入庫台数は過年度の新車販売台数とリンクするため、今後の増減は不可避だ。ただ、先進安全自動車の普及や車両構造の高度化、複雑化が進むことは確実。スキャンツールを活用した対応が求められており、日整連ではスキャンツール活用研修会、スキャンツール活用事業場認定制度などを通じて、各社の導入支援を進めている。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞4月14日掲載