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2020年4月16日

国内のMaaS市場成長 シェアサービス急拡大、富士経済調査

富士経済(清口正夫社長、東京都中央区)は、シェアリングサービスの急拡大により、MaaS(サービスとしてのモビリティ)の国内市場が大きく成長すると予測する。車に対する価値観や生活スタイルの変化で、カーシェアや駐車場シェアが特に大きく成長すると見る。

同社は、MaaS市場の参入企業および関連企業へのヒアリングおよび関連文献調査、社内データベースを併用し、2019年8~11月までMaaS国内市場調査を行い、3月に結果を発表した。モビリティサービス8領域、機器・システム12領域の国内市場を予測し、今後普及が見込まれるMaaSを構成するモビリティ市場と、ターミナルとなるインフラの利用状況の分析を行った。

同社がまとめた「モビリティ・インフラ&サービス関連市場の将来展望2020」によれば、都市部の若年層を中心に、車は所有するものからシェアするものへという意識の変化や生活スタイルの変化が起こっていることで、30年のMaaSの国内市場は2兆8658億円に拡大すると予測する。19年は18年比6・1%増の8673億円とする一方で、30年には同3・5倍に急拡大すると予想する。

MaaS市場を領域別で分析した場合、カーシェアの30年の市場規模は4555憶円、18年比で11・9倍となる大幅な拡大を見込む。カーシェア事業者が拠点となるステーションの設置を全国規模で進めているほか、月会費不要のプランで会員になる敷居が低くなったことで会員数が増加傾向にあることなどを根拠とする。今後、駅・空港だけでなく、コンビニエンスストアにステーションを併設する例も増えると見る。

現状のカーシェア市場は個人利用が約7割を占めるが、社用車の保有を必要最低限とし、不足時にカーシェアを活用するスタイルも浸透していることから、30年には法人利用が4割を超えると予想する。

レンタカーの30年の市場規模は、18年比2・5倍の1兆1545億円と予測する。大都市圏では公共交通機関が発達しているため、自家用車を保有せず、レンタカーを利用するライフスタイルが定着している。訪日外国人の利用増加もあり、市場が拡大している。

レンタカー事業の規制緩和により新規参入が容易になり、高級車を専門としたものや格安な料金設定に特化したものなど、事業者のサービスの幅が広がっている点が追い風になるとする。法人利用比率は5割以上に達する。

駐車場シェアの30年の市場規模は18年比11・3倍の360憶円と予想する。19年の市場見込みでも同75%増と大幅な成長が見られ、MaaS他領域と比較して市場が急拡大している。イベント開催時などの一時的な需要対応型として普及が進んでいる。

個人の自宅駐車スペースや既存の月極駐車場など、駐車場シェアで利用可能な潜在インフラが膨大なため、サービスの認知度向上と登録拠点数の増加に伴い、市場は拡大していくと見込む。ソフトバンクやNTTドコモなど大手異業種の参入増で、複数のサービスに登録するユーザーが増加している一方で、駐車場シェア事業単体での収益性向上を課題に挙げる。料金体系の見直しや、サブスクリプション化による固定収入拡大などが必要だとする。

配車サービスの市場規模については、19年を18年比4・4%増と見込む一方で、30年には同4・0倍の1兆2千億円にまで拡大すると予想する。アプリの簡単な操作でタクシーを手配できる手軽さや、タクシー事業者も配車サービス登録タクシーの台数を増やしていることで、市場が確実に拡大するとみる。配車サービスに登録しているタクシーの台数比率は、19年は約4割だが、30年には8割以上に高まると予想する。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞4月11日掲載