会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2020年4月14日

日刊自連載「整備業界の現状と展望 19年度版整備白書を読む」①整備業界の現状分析

日本自動車整備振興会連合会(日整連、竹林武一会長)がまとめた2019年度版「自動車整備白書」では、自動車整備業界を取り巻く厳しい環境が明確になった。総整備売上高は前年度対比1・7%増の5兆6216億円となり、3年連続で増加した。保有台数も依然として伸びており、整備要員1人当たりの売上高や年間平均給与も増えている。

とはいえ、整備要員数は減少していることで1人当たりの売上高が増えている可能性もあるのは事実。今後、先進安全装置を搭載した次世代自動車が増えることは確かで、各社とも相応の設備投資が不可欠。若年人口の減少に伴うメカニック不足も加速することから、相応の人員を確保するのは困難な状況が続くことは確かだ。

整備業界の実態を把握するため、自動車整備白書を分析すると、総整備売上高の伸長は3年連続。好調な景気を背景にユーザーの消費意欲が喚起され、車検や点検入庫の実施内容も充実したことが総整備売上高の増加につながったと分析している。

14年度は東日本大震災後の復興需要に後押しされて増加したが、15、16年度は2年連続で減少。17~19年度まで伸びたものの、震災前の11年度の水準とほぼ同水準。リーマンショック前の08年度水準には届いておらず、中長期的には1995年度をピークに減少傾向にある。

作業内容別に見ても、すべての項目で前年度を上回っている。車検整備売上高は0・9%増の2兆2205億円となり、3年連続で増加した。1事業場当たりの入庫台数は同2・9%増加したが、平均単価は1・8%減少した。業態別に見ると、専・兼業の入庫台数は4・8%増だったが、平均単価が4・2%減となり、売上高は0・4%増となっている。

ディーラーは入庫台数が1・1%減だったが、平均単価が2・7%増となり、売上高も1・5%増となった。兼・専業の入庫台数が増えた背景には、割安な短時間車検による入庫促進策が奏功したと見ている。

定期点検整備売上高は3・4%増の3773億円で、3年連続で増加した。最近では、ユーザーの間で「安全、安心」を重視する傾向が強まったことを挙げている。事故整備売上高は5・3%増の1兆1356億円と6年ぶりに増加した。衝突被害軽減ブレーキ搭載車の普及により、交通事故数は毎年減少している。

これを受けて事故整備売上高も減少し続けていた。その中で、増加に転じたのは、保険適用を回避するため入庫を控える動きが収束したことや、自費による軽微な整備入庫が増えたことなどが要因として考えられる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞4月10日掲載