2020年3月10日
自動車メーカー各社の採用活動にも影響 新型コロナウイルス
新型コロナウイルスが自動車メーカーの採用活動にも影響を及ぼしている。就職情報会社の大型イベントが相次いで中止となったほか、自動車メーカー独自の企業説明会や工場見学会も自粛を迫られている。自動車各社は、面接が本格化する6月に向けて、学生との接点を深めるために、インターネットを活用した採用活動に軸足を移す。
2021年春に卒業する大学生の採用説明会は、経団連のルールを政府が引き継ぐ形で3月1日に解禁となった。これに合わせてマイナビやリクルートキャリアといった大手就職情報会社は合同説明会を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために中止を決定。合同イベントだけではなく、自動車メーカー各社も採用イベントを自粛しており、トヨタ自動車は3月に予定していた事務系の会社説明会を中止するとともに技術系を対象とする会社見学会を延期することを決めた。社員との座談会など対面して行う必要性が高いイベントは、可能な限り小さい規模で開催し、感染拡大を避ける。日産自動車も2~15日までの間に開催予定だった説明会を全て延期する。
依然として売り手市場が続く採用戦線。説明会シーズンは、企業が学生との距離を縮めて就職先の候補に残るための重要な時期となる。こうした中で「直接、対面しての採用活動が基本」(スバル)と考えていた自動車メーカーもウェブを活用した接点強化に乗り出した。スバルは3月に予定していた事業所の見学会を中止する一方、新たにオンラインで採用担当者らと面談できるシステムを導入。ダイハツ工業もウェブ説明会用のコンテンツ製作を開始した。
さらにホンダは通年採用の中途採用者や6月の実施を予定している新卒者の面接試験もテレビ会議で行うことを決めた。新卒の面接試験までに事態が沈静化すれば、対面による従来型の面接に切り換える方針で、状況を注視する。
感染拡大の防止に向けた対策とはいえ、ウェブによる説明会や面接では互いの顔が見えにくい。自動車メーカー各社には採用後のミスマッチを防ぐためのウェブ戦略も求められそうだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 大学・専門学校,一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞3月6日掲載