2020年2月28日
オートバックス 大分県との連携活動が本格化
オートバックスセブンと大分県による地域活性化に向けた取り組みが本格化している。4月を予定している大分県立情報科学高等学校内での研究所(ラボ)開設に先立ち、同社社員が高校生に向けてプレ授業を実施。NTTコミュニケーションズや大分交通などとともに地域の交通課題の解決につなげる運転補助システムの実証実験も行った。オートバックスは新規事業などを手掛けるICT商品部が中心となり、安心安全を軸に地域社会に貢献する商品やサービスの提供を目指している。主力のカー用品事業を取り巻く環境が変化する中、既存ビジネスの枠組みにとらわれない新規事業の本格展開が始まっている。
同社と大分県が地域活性化に関する包括連携協定を締結したのは2019年12月。県民サービスの向上を目的に、「交通安全・地域交通」「女性活躍推進・青少年の育成」など8つの分野で連携している。
運転補助システムの実証実験は「交通安全・地域交通」の課題解決に向けた活動の一環だ。NTTコミュニケーションズを中心に、オートバックス、大分交通、NTTドコモ九州支店がタッグを組み、高速バスが濃霧の中でも安全に走行できる5Gを活用した運転補助システムの社会実装を目指す実証実験を行った。
大分県は霧による高速道路の通行止めなど、地域交通、観光業にも影響を及ぼす交通課題を抱えている。オートバックスはこの交通課題の解決を実現するため実証実験に参画。米国FLIR製のカメラと高精細地図を用いたソリューションの企画、構築で協力し、今後、他の参加企業ととも早期の社会実装に向けたデータ分析、改良などを進めていく方針だ。
情報科学高校内に開設するラボは「女性活躍推進・青少年の育成」に向けた取り組みとなる。ラボ名は「WEAR―i(ウェアアイ)コミュラボ」。同社のICT商品部が手掛ける安心安全を軸に地域社会に貢献する商品やサービスを提供するためのブランドから命名した。
ラボでは生徒がウェアアイのサービスを体験できたり、最新のICT機器に触れられる機会などを設けることで、ICT技術を活用して地域社会が抱える課題を解決する商品やサービスが生み出せる人材の育成をサポートする。
4月の開設に先立って行ったプレ授業には39人の1年生が参加した。「日常生活の課題を解決する」をテーマに、課題の洗い出しからペルソナ(商品やサービスを利用する主要顧客)の設定、解決策の検討と考察、企画案を発表。事業計画の立案など実社会さながらの業務フローを体験した。
大分県との取り組みはICT商品部によるウェアアイの取り組みの一部だ。オートバックスが手掛ける地域社会への貢献事業はまだ緒に就いたばかりだが、将来的に全国各地域のFC加盟店も巻き込んだ地域経済の活性化、地域課題の解決につながる取り組みへと成長することが期待される。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 一般,自動車業界 |
日刊自動車新聞2月25日掲載