2019年12月30日
タイヤ需要20年見通し 3年連続減 国内販売は緩やかに減少
国内タイヤ販売が緩やかに減少している。業界団体がまとめた2020年国内需要見通しは、前年比マイナスで3年連続の減少となった。新車販売台数と連動した動きを見せるタイヤ需要は、多少の変動はあっても、これ以上拡大する見込みはほぼない。そうした中で、付加価値を高めた商品と20年代のCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の本格化を見据えた動きが活発化している。
日本自動車タイヤ協会(JATMA)がまとめた20年の四輪車国内需要見通し(メーカー出荷ベース)は、前年見込み比1・2%減の1億1262万2千本となり、3年連続で前年を下回る。内訳は新車用が同1・5%減の4330万3千本、市販用が同1・0%減の6932万本となる。自動車生産台数が前年を下回るほか、市販タイヤは販売台数の減少の伴い、「新車購入時にあわせ買いする機会が減る」(JATMA)ことなどが前年比マイナスの要因となる
過去10年の市販用タイヤは、7千万本前後で推移しており、「10年前の想定よりも需要減少は進んでいない」(メーカーの国内販売担当者)と見る向きもある。19年は値上げや消費増税前の駆け込みで第4四半期(19年10~12月)に反動減があるが、ブリヂストンの江藤彰浩COO兼社長のように「(少なくともブリヂストンの)ビジネスにマイナスの影響を与えるとは思っていない」との声もあった。
とはいえ、長期的にみると新車販売が構造的要因で需要が漸減することは間違いない。そのため、各社は付加価値ある商品を売るだけではなく、商品のライフサイクルや消費者のライフスタイルをカバーできるビジネスモデルへの変化が迫られている。
商品戦略では、欧米を中心に普及するオールシーズンタイヤの投入が相次いでいる。多少の降雪にも対応する利便性などを特徴とする同タイヤは、かつては新車装着タイヤに選ばれる時もあった。世界で初めて投入した米グッドイヤーが10年以上にわたって国内販売しており、一定の認知を得ていることは国内メーカーも認めている。
トーヨータイヤや住友ゴム工業がすでに販売を始めており、横浜ゴムも20年1月に発売する。「決して大きな市場ではない」ことは各社の共通認識だが、経済合理性が求められる時代のニーズと合致して需要が動き出す可能性は秘めている。
他方、サービスでは「ソリューション」をキーワードに研究開発が活発化。タイヤに装着したセンサーを使って従来の空気圧や温度に加えて、摩耗状態などまで把握して効率的なメンテナンスに生かせるようにする。ブリヂストンの津谷正明CEO兼会長は「ソリューションなしではビジネスは成り立たなくなる」と断言。ソリューションサービスが販売本数の漸減を補うソリューションになることは間違いなさそうだ。
住友ゴム工業では群馬大学と自動運転を見据えた「安全安心に関わるソリューションを提供する」(山本悟社長)研究開発を進めており、横浜ゴムの山石昌孝社長も「自動車メーカーの技術水準に応えられるセンサー開発を進めている」と新車へ標準装着するソリューションサービスの創出を目指している。
日刊自動車新聞12月26日掲載
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
---|---|
主催者 | 日本自動車タイヤ協会 |
対象者 | 自動車業界 |