2019年11月28日
UDタクシー実態調査、乗車拒否3割にも
障害者団体のDPI日本会議(東京都千代田区)は12日、ユニバーサルデザイン(UD)タクシーの車いす利用者乗車拒否に関する全国調査の結果をまとめ、公表した。
乗車拒否は3割近くに上り「電動車いすは乗せられない」「トヨタ自動車JPN TAXI(ジャパンタクシー)はUDタクシーとして配車していない」など誤った運用の事例もあった。DPIは14日に国土交通省、19日に全国ハイヤー・タクシー連合会に改善を求める要望書を提出した。
国交省はUDタクシーが車いすの乗車を拒否しないよう通達を出しているが、現在も乗車拒否が後を絶たない。このためDPIは10月30日、全国で一斉に実態調査を実施した。UD車両「ジャパンタクシー」「日産自動車NV200」を対象に、全国21都道府県で電動や手動の車いすユーザー延べ120人が参加。「流し」「駅などのタクシー乗り場」「電話・アプリ」で行った。
調査件数120件のうち、乗車拒否件数は32件(27%)で、東京よりも地方の方が比率は高かった。地方ではUDタクシーを指定した配車ができない事例も見られた。乗り方では、最も拒否されたのが電話による配車予約(29%)で、タクシー乗り場(24%)、流し(20%)と続いた。
乗車に要した平均時間は11・2分で、内訳はタクシー乗り場が最も長く14・9分、以下配車アプリ・その他12・8分、流し9・2分、電話予約9・1分と続いた。降車平均時間は5・1分だった。一方で「車いすの乗車には30分以上かかる」と誤った情報を伝える運転手もいたという。
車いす乗車の研修を受けた運転手の比率は意外に高く、実車で受けた人は9割近くにも達した。一方で、ビデオのみなど実車以外が1割、何も受けていない人も少数ながらいた。さらに、車いすのまま乗車させた経験がない運転手が半数以上だった。
拒否した状況をみると「車いすを見たら逃げた」「介護タクシーを薦められた」「ジャパンタクシーはUDタクシーとして配車していないと言われた」などがあった。車両に関しては「室内が狭く乗れない」「ジャパンタクシーは作業手順が複雑」「NV200は奥行きが不十分」などの意見が挙がった。
国交省に提出した要望書では「実車を使った運転手の研修の徹底」「UDタクシーを指定した配車の実現」「不適切な対応をした事業者への改善指導」など7項目の改善を求めている。
今回の調査結果についてDPIの佐藤聡事務局長は「国交省の通達が出ているので拒否の比率はもう少し低いと思っていた。一方で都市部の事業者の接遇は大きく改善された印象がある」と感想を述べるとともに「研修をすれば4分程度で乗車可能だ。今後UDタクシーは全国で普及していくので事業者には改善をお願いしたい」とタクシー業界に訴えた。
日刊自動車新聞11月25日掲載
開催日 | 2019年11月12日 |
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カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
主催者 | DPI日本会議 |
対象者 | キッズ・小学生,中高生,大学・専門学校,一般,自動車業界 |
リンクサイト | ホームページ http://dpi-japan.org/ |