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2019年10月17日

日本精工、電動車用希薄潤滑環境向けの円すいころ軸受を開発

日本精工は9日、電動車のギアボックスなど希薄潤滑環境向けの円すいころ軸受を開発したと発表した=写真。

円すいころ軸受は高荷重に対応できる一方で、他の転がり軸受に比べて油膜切れでころ端面に焼き付きが生じやすかった。新製品は保持器のころ端面と接触する部位に微細な溝を設けて潤滑油を保持し、給油することで耐焼付き性を高めた。ギアボックスは燃費や電費の改善を目的に潤滑油の削減が進む。希薄潤滑環境に対応できる軸受で2025年に年間売上高20億円を見込む。

新製品はガラスペンなどに用いられる毛細管現象で潤滑油を保持し、ころ端面へ給油できる溝機構を保持器に設けた。溝を設けるために保持器には樹脂を採用した。これによりオイルポンプが停止した状態でも標準品に比べて耐焼付き性を7倍に高めた。また、気温がマイナス30度で潤滑油の粘土が高まって軸受まで行き渡らない状況下でも同7倍の耐焼付き性能を確認した。

焼き付き防止のための潤滑油量は標準品に比べて95%以上削減した。オイルポンプの小型化や潤滑システムの簡略化にも貢献する。また、供給量の削減で飛沫潤滑が可能となり、撹拌抵抗も大幅に低減。保持器の形状も最適化しており、体積で10%、質量で5%の小型化による軸受の省スペース化でギアボックスの小型化も見込む。

同社は円すいころ軸受で希薄潤滑下でころ転動面の損傷を防ぐ技術も確立する。二つの技術を組み合わせることで、希薄潤滑下でのさらなる信頼性向上にもつなげる考えだ。

日刊自動車新聞10月10日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

日本精工㈱

対象者 自動車業界