2019年9月5日
環境省概算要求 センサーやバッテリー リサイクル時に省エネ
環境省は、車載バッテリーやセンサーのリサイクル時に発生する二酸化炭素(CO2)の排出を抑える新たなリサイクルモデルを構築する。車の電動化・知能化に伴って電子機器の搭載が増える中、処理量も多くなり、リサイクル分野での省エネ化が課題となる。2020年度予算の概算要求に脱炭素型リサイクルモデルの実証事業として新規で35億円を計上した。今年度末から事業者の公募を行い、20年度から実証を開始する。
自動車をはじめとする製品でIoT(モノのインターネット)機器や電動化製品の導入が進む一方、非鉄金属やレアメタルを含んだ製品の排出も増加している。環境負荷を低減するには、部品の粉砕・選別から金属回収、再利用までの流れの中で、エネルギー使用量を減らし、CO2排出を抑えることが求められる。
環境省は来年度予算の概算要求に「脱炭素型金属リサイクルシステムの早期社会実装に向けた実証事業」を盛り込み、新規予算を要求する。
以前にもバッテリーや風力発電に必要なブレードなど低炭素化で増える部品のリサイクル実証として5億円規模の予算をつけて行ってきた。スマート社会の進展を受けて、規模を拡大する。
新規実証事業は20~22年度にかけて行う予定。対象物は車載電池やセンサー、電子基板といった製品を想定し、破砕から選別、金属回収までの処理フローの効率化を狙い、リサイクル事業者やメーカーなど幅広い主体の参加を促す。
実証では、機械の選別能力の向上による作業の効率化や金属回収する際にかかるエネルギー投入量の削減を試みる。事業を通じて、CO2排出量削減だけでなく、人手不足の緩和も目指し、環境と経済・社会問題の同時解決を図る考え。
環境省は30日、2020年度予算の概算要求を公表した。一般会計やエネルギー対策特別会計などを合わせた総額は19年度当初予算と比べて42%増の1兆2630億円。2050年以降のできるだけ早期にカーボンフリーを目指すというパリ協定に基づく政府の長期戦略に沿って、脱炭素化に必要なイノベーションを推進する。海洋プラスチックごみへの対策として総額188億円を計上した。
自動車業界で起こるCASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)を活用した地域交通のCO2排出削減策や再生エネルギー由来の水素の利活用を推進する。
日刊自動車新聞9月2日掲載
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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主催者 | 環境省 |
対象者 | 自動車業界 |