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2018年5月11日

中古車輸出、電動系エコカーが1割突破 大気汚染対策で人気

ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)など電動系エコカーの中古車輸出が増えている。

財務省の貿易統計によると、2017年度は初めて輸出全体の1割を突破した。大気汚染対策として電動系エコカーを税制優遇するモンゴルほか、スリランカやロシアなどからの引き合いも強い。日本車のブランドイメージ向上や整備関連機器の需要増などにつながりそうだ。

17年度の中古車輸出総台数(乗用車・貨物)は128万9833台。このうち電動系エコカーは13万7655台となり、構成比で10・7%を占めた。車種別ではHVが最多で13万1721台を占め、輸出金額ベースでは1248億9千万円だった。EVも5050台と5千台を超えた。プラグインハイブリッド車(PHV)は875台だった。

HVの輸出先で最多はモンゴルの2万6373台。同国では大気汚染が深刻化し、07年からHVの輸入税や特別税を順次、撤廃したため輸出が増えた。2位のスリランカもHVの物品税を優遇しており、17年度は2万4779台が輸出された。以下、パキスタン(1万8759台)、ロシア(1万7263台)と続く。年間の輸出台数が年間1万台を超えたのはこの4カ国で、HV輸出全体の66%を占めた。また、EVの輸出先はニュージーランドが最多で2695台。以下、ロシア(1338台)、ジョージア(744台)など。PHVはロシアが394台、ニュージーランドが340台などだった。

日本では、17年暦年の登録乗用車(排気量660cc超)販売に占める電動車比率は39・1%と4割に迫り、保有台数も増えている。一方で、国内で使用済み自動車として処理されるHVは年間1万台程度に過ぎず、HVを含めた多くの中古電動車が海外市場に向かっている。自動車の急増に伴い大気汚染に悩む新興国も多く、今後も中古電動車の商機は広がりそうだ。
車両の輸出拡大に伴い、高電圧装置の整備機器や点検用の外部故障診断機(スキャンツール)などのニーズが高まる可能性がある。また、多走行でも故障しにくい日本製の電動系エコカーに対する信頼性も、日本車全体のブランドイメージをけん引しそうだ。 一方で、こうした電動系エコカーのリサイクル体制作りが課題になる可能性もある。

日刊自動車新聞5月8日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

財務省

対象者 自動車業界