会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2018年4月2日

塗料メーカー、水性塗料普及に力 作業環境改善と人材確保へ活用も

塗料メーカー各社が水性塗料の普及に尽力している。ベースコートのみならずプライマーやクリアーまで水性化した商品を発表するなど、板金塗装(BP)工場における作業環境を改善する製品開発と販売強化を進めている状況だ。水性塗料は溶剤系と比較した場合のコストや作業性などが普及の壁となっているが、メーカー各社は作業環境を改善することで人材不足の解消につながる商品としてもPRし、さらなる普及促進に取り組む。

水性塗料は作業者の健康や周辺環境にも配慮した特性を持ち、生産現場で導入している自動車メーカーはもとより、一般のBP工場でも完全水性化を目指す動きが広がっている。一方で、溶剤系塗料と比較するとコストが高く、仕上がりの質感や作業性に課題があるといったイメージや、BP事業者の経営体力などが障壁となり、思うように普及が進んでいないのが現状。そこでメーカー各社は使いやすさを高めた商品を開発し、さらなる普及に向けてアピールに力を入れている状況だ。

関西ペイントは労働安全衛生法や有機溶剤中毒予防規則(有機則)に該当しない業界初の自動車補修用水性システム「オール水性 有機則フリーシステム」を開発。水性ベースコートからクリアー、プラサフをラインアップし、すべての工程において水性化した。作業者と環境に配慮するだけでなく、設備や規制に関する費用の低減に寄与するのが特徴だ。
日本ペイントは溶剤塗料並みの乾燥時間の速さや揮発性有機化合物(VOC)、二酸化炭素(CO2)の排出量など非危険物の管理コストを削減した水性塗料を販売。ウエットオンウエット塗装ができるなど作業性の高さやミキシングフリーなどの経済性などを売りにしている。
アクサルタコーティングシステムズは大気中の湿気によって硬化を促進する特許技術を採用した新製品を発表。速乾性や品質、作業性向上につなげるとともに、塗料調合や塗装器具の洗浄など作業工程の短縮を実現した。

メーカー各社がさらなる普及に向けて強調するのが人材不足への対応だ。水性塗料を使うことは職場環境の改善に効果を発揮することから、BP工場における整備人材の確保に寄与することも積極的に訴求し、今後の導入拡大につなげていく。

日刊自動車新聞3月30日掲載

カテゴリー キャンペーン・表彰・記念日
対象者 自動車業界