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2018年3月26日

国土交通省、自動運転車の損害賠償責任対応まとめ

国土交通省は20日、自動運転車の損害賠償責任のあり方について、当面の対応方針を正式にまとめた。
現行の自動車損害賠償保障法(自賠法)上の責任主体を踏襲しつつ、欠陥起因事故の増加に備え、車両にEDR(イベントデータレコーダ)を搭載するなどして責任関係を立証しやすいようにする。月内に政府がまとめる「自動運転制度整備大綱」に盛り込み、具体化に向けた作業に入る。

国交省が2016年11月に設置した「自動運転における損害賠償責任に関する研究会」が報告書としてまとめた。2020年から25年頃を、自動運転車と一般車が混在する「過渡期」とし、この間に自賠法で対応すべき論点と方針をまとめた。自賠法では事故被害を迅速に救済するため、事故の責任主体を運転者と企業や運送会社などの「運行供用者」と規定する。報告書は完全無人運転車(レベル5)を除くレベル4が実用化される25年頃までは運行供用者の概念を維持。欠陥起因が疑われる事故は、EDRや専門機関などで原因を速やかに特定し、欠陥が認められれば被害者に保険金を支払った保険会社がメーカーに求償できるようにすることを求めた。

このほか、サイバー攻撃により起きた事故は、セキュリティー対策を怠らない限り、盗難車などと同じように政府が保険金を立て替え払いする。また、地図情報が間違っていたり、通信が途絶えて事故が起きた場合「自動車の構造上の欠陥または機能の障害がある」との解釈も示した。「そもそも、そうした事態を想定して設計すべき」(保障制度参事官室)というのが理由だ。
今回の対応方針はあくまで20~25年頃を想定したもの。報告書は「レベル5になると、行き先を指示するだけの者に運行供用者責任を負わせることができるかという議論も顕在化する可能性がある」と指摘し、20年代前半をメドに再検討を求めた。
日刊自動車新聞3月22日掲載

開催日 2018年3月20日
カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

国土交通省

対象者 自動車業界