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2018年3月7日

センサー誤検出や隊列走行割り込み、自動運転の課題解消へ 政府、来年度も実証継続

政府は、これまでに実施した自動運転の実証事業に関する不具合事例をまとめた。積雪によるセンサーの誤検出が起きたほか、飛び出してきた小動物を検知できない例があった。また、トラックの隊列走行では車群への割り込みが発生した。いずれも事故には至らなかったが、政府はこうした課題を踏まえて改良を重ね、来年度も実証を続ける。

自動走行に関する官民協議会で関係省庁が不具合や利用者の評価をまとめた。昨年12月に石川県輪島市で実施した無人自動走行では、実証区間1キロメートルを15回走行するなかで、車内にいる保安要員が4回ブレーキを踏んだ。直進する無人車両と一般車両が対面して停止後、互いが同時に再発進して衝突しそうになる例などがあった。また、積雪によるセンサーの誤検出やタイヤの横すべりも起きた。

 今年1月から2月にかけ、新東名高速道路と北関東自動車道で実施したトラックの隊列走行では、新東名で2回、北関東道で20回の割り込みが発生した。また、車群を一般車が追い越す際、追い越し車線に車両が滞留するケースもあった。また、隊列走行の先頭に乗る運転者から「3車線から2車線へと車線が減る際、一般車と錯綜して車線変更ができない」との意見があがった。沖縄県で行われたバスの自動運転実証については、交通量が多い環境下でもほぼ問題なく走れた半面、路上駐車を避ける際に速度が低下したり、道路上の猫を車両が認知できず、保安要員が停止させるなどの例があった。

 米国で2016年5月に起きた米テスラ車の死亡事故のように、自動運転車の事故は社会的な影響が大きい。トラック隊列走行について、国土交通省の奥田哲也自動車局長は「無人隊列への割り込みは非常に危険で、割り込みが発生しないような車両開発も必要になる。この他にも堅牢な通信装置の開発、隊列の運行形態などさまざまな課題がある」と話している。

日刊自動車新聞3月7日掲載

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
主催者

国土交通省

対象者 自動車業界