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自動車産業インフォメーション

2018年2月13日

ものづくりの世界に“女性力”、人材育成への動き活発化

自動車関連企業が女性社員の採用拡大や、女性の幹部社員登用に向けた環境づくりを進めている。女性の意見を採り入れたた幅広い視点での商品づくりや、働く環境づくりは企業の競争力を大きく左右するためだ。従来から「男社会」のイメージが強いものづくり自動車産業でも、将来活躍してもらう女性人材の「卵」を育成するための取り組みが活発化している。

◆理系女子中高生を対象にイベント
技術を支える理系女性を増やそうと、女子中高生にアプローチしているのがサンデンホールディングスだ。昨年、赤城事業所(群馬県前橋市)で理系女子中高生を対象にしたイベント「夏のリコチャレ」を群馬大学理工学部と共同で開催した。参加した地元の高校生約20人に、同社の女性技術者3人が「身近な物の仕組みを知ることができること」「考えた結果が製品として形になること」など、理系や技術系ならではの仕事の醍醐味を伝えた。
同社では以前から、女性技術者の採用に力を入れている。しかし、一般的には理系に進学する女性は少ない。イベントに登壇したサンデンの天野友紀子さんは理系の仕事を知る機会がないからと分析。「自分たちが話をすることで(仕事の楽しさを)知ってもらい、前に進んでもらいたい」と、女性技術者が直接学生と話すことの重要性を説く。

◆キャリア意識と管理職育成意識醸成
沖電気工業は女性のキャリア意識と管理職の育成意識の醸成に向けた活動に注力している。昨年、都内でグループ内の女性社員やその上司を対象に「女性活躍推進セミナー」を開催した。社員500人が参加してセミナーとグループディスカッションを通して人生設計や働き方について社員同士で話し合ってもらった。
同社は女性に仕事の意欲を高めてもらうため、自らのキャリアを考えてもらうことを目的としたセミナーなどを過去にも開催するなど、女性向けのセミナーや研修を積極的に実施してきた。新卒採用と正社員、幹部社員に占める女性比率が同業他社に比べ低いことが背景にある。

セミナーでは、過去の参加者からの「女性が活躍するためには、職場の理解も重要」という意見を生かして、役員や部門長、部長など管理職も参加した。また、結婚や出産を経験した女性社員が継続的に働き、活躍するためには、気軽に何でも話せる同性の相談相手が精神的な支えになると見ており、セミナーには女性社員同士の関係づくりの場という意味も持たせている。
沖電気の2016年度の育児休職取得率は100%で、就業継続のための制度利用が進む。17年度の新卒採用の女性比率は14年度と比べ20ポイント以上増加した。今後は幹部社員の女性比率を現状の3・2%からまずは4%に引き上げることを目指す。
昨夏には日本自動車工業会が女子中高生を対象に自動車業界の仕事をアピールするイベント「ドライブ・フォー・ザ・フューチャー」を開催するなど、女性の採用や働きやすい環境づくりに向けた活動は自動車業界に広がっている。女性は「男性が気づかなかったところに気づくなど、女性と男性の感性は違う」(ブレーキメーカー首脳)ことから、商品力の向上やものづくりでの改善など、新しいアイデアを生み出す可能性を持っている。長年、男社会が続いてきた自動車業界だが、将来の成長に向けて女性は必要不可欠な存在となりつつあり、今後もこうした動きは業界全体に広がっていきそうだ。

日刊自動車新聞2月10日掲載

カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

サンデンホールディングス、沖電気工業、日本自動車工業会(自工会)

対象者 中高生,大学・専門学校,自動車業界