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2018年1月15日

政府、水素基本戦略まとめ FCバスにも普及目標 トラック開発も

政府は26日「水素基本戦略」をまとめた。2030年までに官民で取り組む方向性を示したもので、自動車分野は従来目標を据え置いたが、新たにトラックやバス、フォークリフトの燃料電池(FC)化を盛り込んだ。

同日、開かれた「再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議」で示された。自動車は昨年3月に改定した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」に盛り込んだ、燃料電池自動車(FCV)を20年に4万台、30年に80万台(いずれも販売累計)、水素ステーション(ST)を20年に160カ所、25年に320カ所の普及・整備目標を踏襲した。自律的な普及が進めば、水素STは30年に900カ所になる見通し。
今回の基本戦略では、新たにFCバスとFCフォークリフトの普及目標が加わった。FCバスは現行の2台から20年に100台、30年には1200台を計画、FCフォークリフトは現在の40台から同500台、同1万台を目指す。バスは運行ルートが決まっている上、大量の水素を使うので水素STの採算改善にも寄与する。FCフォークリフトは排ガスを出さずに長時間稼働し、電動式に比べ水素充填時間が短い利点がある。
基本戦略では、FCトラックの開発・実用化に取り組む方針も示した。電動トラックの開発も進むが、基本戦略はエネルギー密度の違いから「(航続距離)100キロメートル以上の領域ではFCトラックに優位性がある」とした。国内保有台数も320万台と商用バス(保有23万台)を圧倒し、FCトラックが普及すれば水素需要が一気に増えるとの期待も込めた。ただ、普及目標は示さなかった。
このほか、水素を大量に製造・輸送する国際的なサプライチェーン(供給網)の整備や、30年頃に水素発電の実用化を目指す方針も盛り込んだ。将来的には水素の発電コストを液化天然ガス(LNG)火力と同程度にまで引き下げ、再エネと合わせて二酸化炭素の大幅な排出削減につなげていく。

日刊自動車新聞12月27日掲載

開催日 2017年12月26日
カテゴリー 会議・審議会・委員会
主催者

再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議

対象者 自動車業界
リンクサイト

経済産業省ホームページ(水素基本戦略を掲載)

http://www.meti.go.jp/press/2017/12/20171226002/20171226002.html

 

FCVや水素STに関しては、普及へ向けて一段と規制緩和する政府方針が今年6月の規制改革実施計画で打ち出されており、経産省は同計画に盛り込まれた37項目の取り扱いを検討中。今後も定期的に会議を開き、規制緩和へ向けて議論する予定。