会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2023年5月25日

ヤマト運輸 日本初の燃料電池大型トラック走行実証を開始

ヤマト運輸は17日、燃料電池(FC)大型トラックの走行実証を開始した。宅急便の荷物を積載して夜間の幹線輸送で使用し、水素燃料活用の可能性と実用性を検証する。FC大型トラックの走行実証は、日本で初めてとなる。

ベース車両は日野「プロフィア」。車両総重量は25㌧。トヨタのFCセダン「ミライ」のFCスタックを、大型トラック向けに出力と耐久性を向上させて上下に2基搭載する。

新たに開発した大量の水素を貯蔵できる大型高圧水素タンク(70㍋ パスカル )6本をキャビンと荷室の間に搭載。水素の充填量は50㌔㌘で、満充填時間は20~30分を見込む。航続距離は約600㌔㍍。将来予定されている高速水素充填規格にも対応できる水素充填口を備える。

実証走行に用いるFC大型トラックは1台。東京都と群馬県にある物流拠点間で往復約300㌔㍍の幹線輸送を行う。実証期間は数カ月を予定する。

主な検証内容として、運用面ではドライバーにとっての使い勝手と、水素ステーションでの充填時間を含む運行管理を検証する。車両開発に関しては、FCシステムと電動システム全般の作動を検証するほか、環境や走行の違いによる水素消費量の変化、水素ステーションでの給水素情報、運転操作性などに関する情報などを取得する計画だ。

車両の披露と走行実証の説明会は同日、ヤマト運輸の物流拠点「羽田クロノゲート」(東京都大田区)で開かれた。同社グリーンイノベーション開発部の上野公シニアマネージャーは「後続距離と積載量を考えると、FCは大型トラックに適した有力なパワートレイン」との考えを示しつつ、「実用化に向けては水素ステーションの確保が課題となる」とも指摘した。

トヨタと日野が共同開発したFC大型トラックを使用した実証走行は、ヤマト運輸のほかにアサヒグループジャパン、西濃運輸、ネクスト・ロジスティクス・ジャパンも今月から順次実施する予定だ。

走行実証で使用するFC大型トラックは、トヨタ自動車と日野自動車が共同開発した。車両を使う物流事業者の視点を反映する狙いで開発段階からヤマト運輸も関わってきた。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞5月22日掲載