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2022年12月06日

三菱自 軽商用EV販売再開機に需要開拓、実証知見やノウハウ生かす

三菱自動車が、軽商用電気自動車(EV)の販売再開を機に法人や自治体需要の取り込みに本腰を入れている。2021年度から実施している実証実験の知見や長年販売してきたノウハウを生かし、軽商用EVの普及を通じて中小事業者などのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現を支援していく意向だ。

三菱自は、21年3月に生産終了した軽商用EV「ミニキャブ・ミーブ」の一般販売を11月24日に再開。物流会社や自治体などでカーボンニュートラルに役立つ軽商用EVの需要が急速に高まっていることを受け、販売再開を決めた。

生産終了後も軽商用EVの可能性を探っていた。21年春からミニキャブ・ミーブを利用するハウスメーカーや医薬品の卸売り企業と使い勝手などを調査する実証実験を行ってきた。22年度も取り組みを続けており、実施件数は全国で50件を超えた。

国内営業本部軽EV推進室の五島賢司室長は「性能を評価してもらうことが1番の目的」と実証実験の位置づけを説明する。EVの強みである静粛性や力強さなどが利用者から高評価だ。EV普及の障壁の一つである航続距離については「充分使える」と意見を得たという。

実証実験は22年度末まで継続する。ここで得た知見やニーズを生かし、今後は「軽商用EVを単に販売するだけでなく、コンサルタント営業を目指す」(五島室長)方針だ。

利用者の課題解決には軽商用EVを10年以上に渡って販売してきたノウハウも活用する。現在、国内の軽商用EV市場にベンチャー企業の参入が相次ぐが、11年に市場投入した先行者ならではの蓄積によって差別化を図る。

三菱ディーラーによるアフターサービス力も武器にする。商用車では稼働率を落とさないことが商品価値につながる。軽商用EVを10年以上整備してきた技術で万全の運用環境を利用者に提供する。

自治体や法人の商用EV需要が高まっている一方、競合も少なくない。五島室長は「日本製EVの特徴である品質の高さも強みだ」と話す。今後は自治体向けの機関紙や運輸業の業界紙といったターゲットを絞ったPR活動を展開していく意向だ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞11月24日掲載