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2022年12月05日

三菱ふそう 工場で無人自動けん引車によるエンジン運搬公開

三菱ふそうトラック・バスは、無人自動けん引車(AIT)によるエンジン運搬の実証実験を報道陣に公開した。「ファクトリー・オブ・ザ・フューチャー(未来の工場)」プロジェクトの一環で、段階的な実証を経て導入を目指す。

AITは、仏イージーマイル社製の自律走行型電気自動車(EV)「トラクトイージー」を使う。カメラやLiDAR(ライダー、レーザースキャナー)などで周囲の状況を認識し、地図データやGPSを頼りに事前設定ルートを自動走行する。

無線通信機能も備え、映像や音声の情報をクラウド経由で同製作所内に置く遠隔管制センターに伝送する。オペレーターが走行状況を監視し、ルート上で人や物体を検知してAITが停止した場合は遠隔操作で介入し、再び自動走行に戻す仕組みだ。遠隔管制システムはパナソニックが提供する。

実証は、本社がある川崎製作所(川崎市中原区)で10~11月の非稼働日に実施した。第1段階として、AITがエンジン工場から車両組み立てラインまでの約900㍍のルートを自動走行した。ただ、実際にはエンジンを載せず、今回は人や車両の往来が少ない環境下で安全に走れるかを試した。

設定ルートに沿って移動できる信頼性や、時速11㌔㍍で走る場合の安定性、障害物との接触を回避する安全性などを確認した。遠隔監視・操作によりAITを頻繁に止めないで済む運用も検証した。

今後は、人や車両が頻繁に屋内外を往来する平日や、エンジンを実際に搭載した状態で実証し、完成度を高めて導入を目指す。

三菱ふそうは、ファクトリー・オブ・ザ・フューチャープロジェクトを5年前に始めた。自動化やロボティクス、ITシステムへの投資を通じて生産効率の向上とコスト削減に取り組むもので、AITもこの一環だ。親会社のダイムラー・トラックも独ヴェルト工場でAITを導入する準備を進めている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞11月26日掲載