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2022年11月02日

ニッパツ 車酔い防ぐシート開発、後頭骨支える独自ヘッドレスト

ニッパツが車酔いを防ぐ自動車用シートの開発に力を入れている。運転支援が高度化すると、乗車中の過ごし方が大きく変わる可能性があるためだ。同社は車酔いを減らすため、独自構造のヘッドレストやスマートフォン(スマホ)操作時のハンドサポートを開発し、効果も確かめた。自動運転技術の段階的な実用化をにらみ、シート事業の高付加価値化につなげる。

車酔いは、不規則な車両の加減速や旋回から位置感覚中枢が受け取る情報と、視覚情報から受け取る情報の不一致によって脳が混乱することが一因とされる。運転者は自身の操作から受け取る情報と視覚情報が一致しているため車酔いしにくいが、同乗者は別だ。スマホを操作したり、ディスプレーで映像を観るなどしているとさらに酔いやすくなる。

独自構造のヘッドレストは、頭蓋骨の後下部にある「後頭骨」の2点を支える部品を組み込み、乗車してから車酔いが起きるまでの時間を非搭載車に比べ約3倍に延ばした。開発品は後頭骨を支持する部品を電動で格納できる仕組みとしたが、コストにも配慮し、手動式や固定式など自動車メーカーのニーズに応じた製品を開発していく。

「ハンドサポート」は、スマホを操作する手を一定の高さに保てるようにする製品だ。これにより頭を前方に向けやすくなり、視覚情報の不一致を抑える。同社の実験によると、ハンドサポートを搭載した場合は、非搭載車に比べて酔いが起きるまでの時間が2倍以上に延びた。実用化に向け、アームレストから肘部と手の甲をサポートする機構を2段階で出す仕組みを開発している。

両製品とも自動運転車での採用を目指すが、ニッパツとしては、現行車でも2列目や3列目シートなどのニーズがあれば自動車メーカーに提案していく考えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞10月25日掲載