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2022年9月28日

ホンダ 電動二輪車に全固体電池を採用、30年に350万台へ

ホンダは2020年代後半に電動二輪車に全固体電池を採用する。従来の電池と比べ、エネルギー密度が2倍になる全固体電池を採用することにより、搭載スペースや重量の制約が大きい二輪車で競争力の高い電動車を開発する。

ホンダは13日、30年に二輪車の総販売台数の15%に当たる350万台を電動車にし、40年代に電動化を中心にカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)を目指す方針を発表した。四輪車用に開発する技術を活用することで、収益性を維持しながら電動二輪車の普及を目指す。

ホンダは電動二輪車を26年に100万台に、30年に350万台にする方針を掲げた。現状では中国で販売する電動モペット(時速25~50㌔㍍)、電動自転車(時速25㌔㍍以下、アシストなし)など約10万台程度。

25年までにグローバルで大型バイクを含む電動二輪車を合計10モデル以上投入し、電動化を進める。竹内弘平副社長は本社で開いた会見で「電動化を中心にカーボンニュートラルに向けても世界トップメーカーとしてのプレゼンスを維持する」と語った。

二輪車は「車体のサイズ上、航続距離を伸ばすためにバッテリーを多く積むことが難しい」(野村欣滋常務執行役員)。特に大型バイクではこの課題がより大きい。すでに海外メーカーの一部では大型の電動バイクを商品化しているが、ガソリン車と比べ航続距離が短いにも関わらず、重量は重く、販売は伸び悩んでいる。エネルギー密度が高い全固体電池を搭載することにより、航続距離と軽量化を両立する。

電動化を中心に環境対応を進めるホンダだが、営業利益率が15%に迫る〝稼ぎ頭〟の二輪車事業の収益体質が電動化への投資で悪化すれば会社全体の経営に与える影響は大きい。こうした中、ホンダはガソリン二輪車で培ってきた効率的な開発や生産のノウハウを電動車に生かすとともに、全固体電池の適用など四輪車と二輪車の相乗効果の創出を進める。

コネクテッドサービスや電池のエコシステム、シェアリングサービスといった新たなビジネスモデルも構築し、二輪車事業の高収益体質を維持する考えだ。

一方、内燃機関の進化にも継続的に取り組む。燃費改善を図るとともに、地域特性に応じてガソリンとエタノールなどを混合したカーボンニュートラル燃料に対応したモデルを投入する。

エタノール100%のフレックスフューエル(E100)対応モデルを販売しているブラジルに加え、インドでも23年以降にフレックスフューエル対応モデルを投入する。エタノール比率20%のE20対応モデルを手始めに、25年にはE100対応モデルを発売する。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞9月14日掲載