会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2022年9月07日

カー用品メーカー アルコール検知器事業参入相次ぐ、運行管理システムと連携

アルコール検知器事業に商機を見いだし、新規参入する用品メーカーが増えている。改正道路交通法の施行により、社用車を使う多くの事業者で呼気検査や結果の記録が早ければ10月にも義務化される。そこで、検査結果をクラウドにまとめるサービスや、アルコール検知器と運行管理システムをセットにしたプランの提供など、それぞれの用品メーカーの得意分野を生かした商品やサービスを相次いで投入している。

アルコール検知器の専門メーカーも需要の取り込みに動いているが、カー用品ならではの使い勝手や利便性を生かして新たな市場の開拓に挑んでいる。

改正道交法により、自家用(白ナンバー)の社用車を一定台数以上保有する事業者も、アルコール検知器を用いた酒気帯び確認を運転者に実施する必要に迫られている。関心が高いものの、未導入の事業者もいまだ多いのも実情で、カー用品各社は事業者が使いやすいサービスの提供で、先行する検知器専門メーカーから巻き返しを狙う。

コムテック(大川晋悟代表取締役、愛知県東郷町)は今月から、アルコール検知器だけでなく、ドライブレコーダーなどの機器と自由に組み合わせることができる新たな運行管理システム「Cポータル」を開始した。システムの利用料を5年間無料とし、BtoB(企業間取引)領域を広げていく。「機器の交換や6年目から発生するシステム料など中長期的に収益を高めていく」(担当者)とし、中期的に事業を成長させていく方針だ。

ソフト99コーポレーションはクラウド型車両管理業務アプリ「どらあぷfor Biz」で、アルコール検知器の検査結果記録にも対応する。検知器を保有しているものの、検査結果の保存や管理をデジタル化したいニーズの獲得を目指す。同社もBtoBを開拓し、新たな事業の柱に育成するきっかけとする考えだ。

一方、セイワ(田邉正明社長、東京都江戸川区)は、アルコール検知器を発売した。機能を呼気検査に絞り込んでおり、検査結果をアナログな方式で記録する中小企業をターゲットとする。機器のセンサー寿命を考慮し、将来的な交換需要も取り込む計画。他メーカーのクラウドサービスや運行管理アプリとの組み合わせも想定される。

こうした中、今、アルコール検知器を求めるすべての事業者に、期日までに行き渡らない可能性も出てきた。検査義務化は10月の開始予定だが、大手検知器メーカーの担当者は「導入に関する説明会を開催しているが、期日に対する危機感を持っていない事業者も多い」とため息をつく。アルコール検知器も半導体不足の影響を受け、品薄感が出ている。

このタイミングで駆け込み需要が起これば、さらに供給面の問題が深刻となる恐れもある。そのため、関係省庁では改正規則の内容と施行延期を検討しており、未導入の事業者やメーカー各社からは安堵の声も出ている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞9月1日掲載