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2022年7月20日

1~6月の国内乗用車市場 SUV比率3割に迫る、初めてミニバン上回る

国内乗用車市場でSUVの存在感が一段と高まっている。日本自動車販売協会連合会(自販連、金子直幹会長)によると、2022年上期(1~6月)は乗用車販売台数に占めるSUVの比率が3割に迫り、統計開始後、初めてセミキャブワゴン(ミニバン)を上回った。

半導体不足などによる供給制約のため、乗用車市場全体が落ち込む中、各社の積極的な新型車投入もあってSUVは新型コロナウイルス感染拡大前と比較しても2割超の大幅な増加となった。

自販連の統計資料によると、22年上期のSUVの販売台数は前年同期比7・3%減の32万8993台だった。前年上期はコロナ禍影響からの回復により同27・8%増と水準が高かったため前年割れとなったが、乗用車全体の同15・3%減に比べ落ち込み幅は小さく、初めてセミキャブワゴンの台数(29万8757台)を上回った。乗用車に占めるSUVの比率は29・6%と、前年同期に比べ2・5㌽上昇した。

コロナ禍前と比べても、SUVは増加している。19年上期との比較では乗用車全体が25・8%減であるのに対し、SUVは23・9%増だった。

SUVの比率が高まっている要因について、自販連の担当者は「セミキャブワゴンが一部車種で生産制約の影響を受け、モデル末期や生産終了の車種もあった」とするが、それ以上に「各社が相次いで投入した新型車がけん引した」と分析する。

22年上期の乗用車ブランド通称名別順位では、上位50台中17台をSUVが占めた。首位のトヨタ「ヤリス」(8万1580台)と2位のトヨタ「カローラ」(7万988台)は、それぞれトヨタの「ヤリスクロス」(4万666台)と「カローラクロス」(3万1858台)を含んでおり、両モデルともSUVでは首位のトヨタ「ライズ」(4万5380台)に次ぐ水準だ。

SUVはデザインやコンセプトが多様化しているほか、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)とパワートレインも増加するなどラインアップが拡充し、ユーザーの選択肢が広がっている。

特にEVは5月に日産自動車が「アリア」のB6(2WD)を、トヨタ自動車が「bZ4X」、スバルが「ソルテラ」をそれぞれ投入し、上期としては台数の貢献度こそ小さかったが注目度は高かった。

各社は今後もSUVで新型車の投入を計画している。マツダは今秋にラージ商品群第1弾の「CX―60」の販売を開始する予定だ。ホンダは今秋発売予定の「ZR―V」の情報をホームページの特設サイトで先行公開し、日産も公式SNSで新型SUVの発表会を20日に開催することを告知している。

根強い人気を持つSUVのラインアップやバリエーションが一層広がることで、今後も需要は拡大しそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞7月15日掲載