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自動車産業インフォメーション

2022年6月17日

自動車メーカー各社 主力級相次ぎ投入へ、新型車効果で市場活性化

今夏から今秋にかけて自動車メーカーが主力級の新型車を相次いで投入する。トヨタ自動車は「クラウン」、日産自動車は「エクストレイル」の全面改良を控えており、ホンダは「ZR―V」、マツダは「CX―60」といった新商品を発売する。

納期の長期化や物価上昇を背景に、消費の冷え込みを指摘する声もある中、販売店は新型車の投入で需要喚起を図る考えだ。ただ、部品調達難の影響は残っているだけに、計画通りに投入できるかは不透明だ。

5月の新車販売台数(軽自動車含む)は前年同月比18・1%減の26万1433台と11カ月連続で減少した。生産制約の影響による出荷の遅れが原因だが、販売店にとっての懸念は「4月以降、来店者数が減少している」(西日本のトヨタ系販売会社役員)こと。納期の長期化に加え、円安や原油高が家計を圧迫し、受注や来場の勢いは一時期に比べ減退している様子だ。

部品調達難の解消が前提にはなるものの、こうした中で各社が投入する新型車効果で市場の活性化が見込まれる。ホンダは「ヴェゼル」と「CR―V」の中間に位置するサイズのZR―Vを発売する。新型シビックにも搭載するハイブリッドシステムを組み合わせる見通し。

マツダのCX―60は、「CX―5」よりも車格を上げつつ、300万円を下回る価格帯で投入し、量販を見込む。

トヨタはクラウンのほか、需要が安定的な小型ミニバン「シエンタ」を全面改良する予定。日産がシリーズハイブリッドシステム「eパワー」を搭載して発売するエクストレイルも同社の登録車では量販が見込めるモデルだ。日産の販売店では「軽EV(電気自動車)に加え、新型エクストレイルも出ればラインアップはかなり強くなる」と期待感を示す。

ただ、いずれのモデルも生産制約の影響により、投入時期は流動的だ。ダイハツ工業は6月下旬に新型「ムーヴキャンバス」の投入を予定していたが、発売日が後ろにずれ込む見通しとなり、「販売店向けの内覧会も終えて準備はできているが動き出せない」(西日本のダイハツ系販売会社)という。

生産制約の一因になっていた上海市のロックダウンが解除され、部品調達の正常化に期待がかかるものの、物流の混乱や半導体不足は依然として続いており、販売現場ではその動向を注視している。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞6月11日掲載