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2022年6月08日

全国石油商業組合連合会 合成燃料の早期実用化へ周知活動を開始

ガソリンスタンド(給油所)業界が、合成燃料の周知活動を本格化している。給油所事業者で組織する全国石油商業組合連合会(全石連、森洋会長)は3日、全国の組合員と連携し、消費者を対象にした合成燃料の周知活動を展開すると発表した。

水素と二酸化炭素(CO2)で作り出す〝カーボンフリーエネルギー〟であることを広くアピールし、合成燃料の早期実用化に向けた機運を醸成していく狙い。まずは独自制作したポスターを全国の給油所に掲示するなどし、全国各地で認知度を高める。

温室効果ガスの排出を実質ゼロ化するカーボンニュートラルに向けて自動車の電動化が進む中、給油所の事業者からは将来的な合成燃料の実用化を期待する声が少なくない。ガソリンと同様に扱えることから、普及できれば既存のタンクや給油設備をそのまま使えるからだ。全国に約2万9千カ所ある給油所にとっては、実用化の可否が将来的な経営を左右する可能性もあるだけに、全石連でも組織として周知活動を進めることを決めた。

今回制作したポスターは「未来が見えたっ‼ カーボンニュートラル・環境対策は液体合成燃料で。」をキャッチフレーズに採用。全石連の「SS経営革新・次世代部会」(部会長=佐藤義信副会長)が企画した。6月6日付の機関紙にポスターを折り込み、全国の組合員に配布する。

9日に仙台市で開催する総会でも全国から集まった各地の幹部にPR活動の展開を要請する予定。全石連は組合員数約1万3千、給油所数約2万1千カ所を抱えており、一定の効果が見込めそうだ。

一方、合成燃料の実用化には課題も多い。全石連によると現在の価格は1㍑当たり700円ほどで、普及に向けては大幅な低価格化が不可欠だ。さらに、開発を進めるENEOS(エネオス)などでは、40年の商用化を目指しているなど、普及への道筋も遠い状況にある。

こうした中、全石連の森会長は「30年代に(実用化の)めどがつくことを期待している」と、できるだけ早期の実現を求めていく方針。自動車ユーザーへのPR活動も展開することで、給油所業界以外でも合成燃料への期待感を高めていきたい考えだ。

国内のガソリン販売量は、自動車の電動化の進展などによって減り続けている。2004年度は6147万㌔㍑だったが、15年後の19年度には4910万㌔㍑と2割減った。経済産業省の試算では、今後も年率2%ずつ減り続け、26年度の販売量は4080万㌔㍑になる見通し。脱炭素へのうねりがさらに強くなれば、落ち込みに拍車がかかる可能性もある。

給油所各社は、ガソリン販売量のさらなる減少を見据え、充電サービスや電気自動車(EV)の販売など新たな収益源の模索も続けている。ただ、こうした新たなビジネスでどの程度稼げるのかは未知数な部分も多い。全石連ではEVビジネスの拡充と合成燃料実用化への動向を両にらみし、新たな給油所事業の在り方を探って行く構えだ。

カテゴリー キャンペーン・表彰・記念日
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞6月4日掲載