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2022年6月07日

経産省「22年版ものづくり白書」 コロナ後見据えた動き

コロナ禍からの本格的な景気回復に期待する声が高まっている。経済産業省が公表した「2022年版ものづくり白書」によると、今後3年間で国内における自社の売上高が増加する見通しとした製造事業者数が前年調査の1・7倍となった。一方、コロナ禍でサプライチェーン(供給網)の脆弱性が浮き彫りになったことを受け、国内の生産体制の強化を重視する動きも活発になっている。

また、カーボンニュートラルへの取り組みなどをはじめ今後3年間の設備投資額の増加を見込んでいる事業者もあり、アフターコロナに向け投資マインドが持ち直しそうだ。

22年版白書では、事業者の約5割が売上高、約4割が営業利益でそれぞれ「増加」「やや増加」したと回答した。増加要因として、9割近い事業者が「販売数量の増加」を挙げており、コロナ禍などで縮小していた経済活動が回復してきた様子がうかがえる。

今後3年間の見通しについても、5割以上の事業者が国内外ともに売上高の伸長を見込んでいるとした。特に資本金が100億円以上の大企業でこの傾向が強く、供給網全体へのプラスの波及が期待される。今後3年間の設備投資に関しても、約4割の事業者が、国内、海外向けともに投資を増やすと回答している。

コロナ禍や半導体不足による供給網の寸断への対応も進んでいる。供給網の強靭化に向けた取り組みとして「国内生産体制の強化」を挙げた事業者は前年度の2倍近い約41%に上った。足元ではウクライナ情勢の悪化も加わり、調達網や生産拠点をグローバルで構築するデメリットが表面化してきている。供給を止めないよう、国内で一定規模の生産を賄える体制づくりが急務となる。

このほか、カーボンニュートラルへの取り組みの必要性に関しては「大きく増している」「増している」と回答した事業者は約26%だった。環境対応が企業への投資基準の一つになっていることもあり、大企業では脱炭素化の取り組みが盛んだが、中小企業にはまだ必要性が浸透しきっていない様子がうかがえる。

実際に取り組んでいる項目としては、「製造工程における二酸化炭素(CO2)排出削減」や「CO2排出量の見える化」などが多かった。原料の調達から廃棄までのライフサイクルアセスメント(LCA)全体で脱炭素化を図る必要があり、化石燃料の使用割合が高い製造業はエネルギー分野での脱炭素化も求められることになる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月3日掲載