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2022年5月17日

日刊自連載「21年度乗用車市場動向調査から」(下)次世代技術への意識

日本自動車工業会(自工会)の今回の調査では、自動運転車に関心を持つ層が5割弱と、前回(2019年度)とほぼ変わっていない。関心がない理由の最上位の「安全面で不安」は前回に比べ減少したが、「自分で運転したい」は増加するなどユーザーの意識の変化もみられる。

自動運転車の関心度は「関心がある」が47%、「関心がない」は29%で、前回とほぼ同じ割合だった。男女とも29歳以下の若年層の関心が前回に比べ高まっている。

自動運転車に関心がない理由は「安全面で不安」が56%でトップだが、前回に比べ6㌽減少した。以前よりも自動運転技術が普及し、一般ユーザーに認知されつつあることがうかがえる。

一方、「自分で運転したい」は46%と、前回に比べ4㌽増加した。男性の52%に対し、女性は39%と男女間で差が生じている。

自動運転車への期待では「安全性が高まる」や「渋滞が緩和される」、「利便性が向上する」が上位を占めたが、「期待しない」の回答も約2割存在する。継続的な認知度向上の取り組みが重要となりそうだ。

自動運転技術では「レベル3(条件付自動運転)」以上を望む割合が43%で、前回に比べ2㌽上昇した。内訳はレベル3が24%、「レベル4(高度自動運転)」が6%、「レベル5(完全自動運転)」が13%で、レベル3とレベル5は前回に比べ1㌽増加している。

一方、「自動運転は望まない」の割合は21%だった。前回に比べ2㌽減少したが、低年収層や70歳以上の高齢層では依然3割前後を占めるなど収入や年齢での関心の違いが見て取れる。

自動運転のレベル別で購入意向に差があることも分かった。購入意向はレベル3で39%だが、レベル4~5は24%にとどまる。一方、「購入も利用もしない」の回答はレベル3の48%に対し、レベル4~5は約60%と高かった。レベル3~5の受容性は「独身期で高く、高齢期で低い」という共通点がみられる。

コネクテッドサービス・機能の有料での利用意向は「盗難防止/盗難時通報サービス」や「ナビ地図データの自動更新」、「エアバッグ作動時の緊急通報サービス」が前回と同様に上位を占めた。前回は項目の設定がなかった「車両制御機能の自動アップデート」が4位に入っている。

首都圏中心部(23区)は「ナビ地図データの自動更新」や「エアバッグ作動時の緊急通報サービス」、「ビッグデータ交通情報サービス」の利用意向が高く、高年収層は「車両制御機能の自動アップデート」のニーズが強い傾向が表れている。

コネクテッドサービスへの年間支払い限度額で最も多かったのは「5千円まで」で42%。前回に比べ4㌽減少する一方、「1万円まで」は1㌽増の31%となった。「5万円まで」と「10万円まで」、「それ以上」もそれぞれ2㌽増加した。支払い限度額の中央値は全体の6300円に対し、独身期は7500円、高齢期は7300円と高くなっている。

多様なコネクテッドサービスが登場し、認知度も向上する中で、価格の許容範囲も広がっていることが明らかになった。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞5月7日掲載