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2022年5月11日

整備団体、作業研修に短い動画活用 効率的な学習機会を提供

整備団体で動画共有サイトを使い、短時間動画を活用して会員向けに整備作業を解説する動きが増えている。日本技能研修機構(JATTO、石川明男代表理事)は、電子制御装置整備を1作業当たり約90秒で解説した動画の配信を4月に開始。また、日本輸入車整備推進協会(JISPA、平林潔代表理事)は1本当たりの長さが約10分の研修動画のオンデマンド配信を実施している。

整備業界は慢性的な人手不足となっており、会員各社も業務が多忙となっている。日々の仕事に追われ、教育に割く時間を取りにくい中で、効率的な学習機会の提供につなげる狙いだ。

JATTOは、車両とカメラやレーダーなど作業ごとに方法や機器、注意点、整備マニュアルに即した作業の実施を説明した約90秒の動画を作成。4月中旬に動画共有サイト「ユーチューブ」の専用チャンネルで配信を始めた。

月4本のペースで更新し、年50本の配信を目指す。動画作成は本部以外にも、共通フォーマットとなる絵コンテを配布し、会員工場にも素材提供の協力を仰ぐ。量販車の動画は会員以外にも公開し、電子制御装置整備の重要性の啓発と業界全体で共創した整備社会の推進につなげる。

JISPAは2月下旬から、オイル交換など輸入車整備の基本作業を解説した研修動画を提供している。1本当たり10~15分にまとめ、各社の従業員が業務の合間でも短時間で視聴可能にした。これまでも集合研修やコロナ禍ではリアルタイムのオンライン研修を実施してきた。

ただ、新車の供給不足の影響などで入庫台数が増えた背景もあり、業務中、一定時間拘束されるオンライン研修の受講が難しくなっていた。このため、「好きな時間で、短時間で視聴できる」(JISPA)動画の提供で、会員が研修に臨める環境を整えた。

整備業界でもオンライン研修が普及してきたが、整備工場では店舗で受講中に業務量に応じてパソコンから離れざるを得なくなり、研修の流れを見失うこともしばしばある。このため、要点を絞った短時間動画を好きなタイミングで利用できるオンデマンド配信の活用で、会員の視聴時間に制限をなくしていく。こうした取り組みがさらに広がれば、業務が多忙な中でも整備士がステップアップできる環境づくりに役立ちそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞5月7日掲載