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自動車産業インフォメーション

2022年5月10日

自動車メーカー各社 新卒採用、「デジタル人材」確保に工夫

自動車メーカーが新卒者の新しい採用手法を模索し始めた。職種別採用の導入や外国籍の学生への多言語対応などにより、優秀な人材の確保に取り組んでいる。自動車産業では自動運転や電動化といった新技術の開発を担う「デジタル人材」の採用が課題になっている。他業種も含めた人材獲得競争が激化する中、自動車メーカーは採用活動を一層強化している。

学生と職場のミスマッチを防ぐ職種別採用は、トヨタ自動車や日産自動車、ホンダなどが導入している。トヨタは2020年の新卒採用から「コース別採用」を開始。エントリー時に第3希望までコースを聞き取り、できるだけ希望する職種で採用するようにしている。日産は「(学生にとって)働き始めの担当業務のイメージが付きやすい」と職種別採用のメリットを挙げる。

日野自動車でも「職種にこだわりのある学生が増えている」とし、時期は未定ながら職種別採用の導入を検討し始めた。スズキや三菱自動車も技術系など特定の職種分野に限って導入を検討している。

優秀な人材を海外からも採用しようと多言語化対応を進めようとする事例も出てきた。日産では外国籍の学生に対し、採用プロセスを多言語化する施策を検討している。採用活動で多言語対応することにより、海外の優秀な学生の獲得につなげていく。

自動車メーカーでは自動運転や電動化、サイバーセキュリティーといった分野への投資を拡大しており、新たな分野に対応できる人材確保が必要になっている。

このためトヨタでは職種別採用に加え、IT(情報技術)系の新卒学生に向けたワークショップやテクノロジーに関するウェビナーを開催するなど、学生の興味関心を起こさせる仕掛けを取り入れる。三菱自ではデジタル領域の社員によるリクルーターチームを設置し、デジタル人材の採用を強化している。

デジタル人材の獲得をめぐっては他業種も含めた競争が年々激しくなっている。少子化によって学生数も減少傾向にあり、今後、採用環境はより一層厳しくなっていくことが予想される。

今年は新型コロナウイルスの感染拡大によって一時冷え込んだ企業の採用意欲が復活しており、採用環境は学生優位で進んでいる。ITなど人気業種に流れがちな学生を引き寄せるためにも、自動車産業は採用活動でのもう一段の工夫が求められている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 大学・専門学校,自動車業界

日刊自動車新聞5月2日掲載