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2022年4月28日

「産学協議会」報告書 インターンシップルール見直し、選考時の活用容認

産学官で新たな定義や基準の策定などインターンシップの見直しが始まる。学生の参加期間を短期で5日間以上とするほか、インターンシップで得た学生情報を企業が採用選考活動で活用できるようにする方向だ。2024年度に卒業・修了する大学生や大学院生から適用する。

形骸化したルールを是正して実務をベースとした質の高いインターンシップを根付かせることで、学生の自律的なキャリア形成支援と企業のニーズにより合致した人材確保に役立てる。

企業と大学で構成する「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」が18日、報告書を発表した。これまでインターンシップで企業が得た学生情報は、文部科学省、厚生労働省、経済産業省の「3省合意」に基づき採用選考活動に使用できない見解だった。3省は産学協議会の報告書を踏まえ、今年度中に3省合意の見直しと具体的なルールの策定を実施する。

産学協議会の報告書によると、インターンシップの所要日数について、短期で「5日間以上」、専門能力を生かすなどの長期の場合は「2週間以上」と定めた。学生の参加期間の半分を超える日数を職場で就業体験することが必須だ。実施場所は基本的に事務所や研究所などの職場だが、テレワークを常態化している場合はテレワークも可能とする。

実施期間は、学業と両立を図るため、学部3・4年、修士1・2年の夏休みや冬休みなど長期休暇期間とする。インターンシップを行うに当たっては、人事担当者ではなく職場の社員が学生を指導し、インターンシップ終了後に学生にフィードバックすることを求める。

無給が基本だが、実態として社員と同じ業務や働き方となる場合は、労働関係法令の適用を受けて有給となる。

インターンシップで取得した学生情報の活用は「採用活動開始以降」から可能となる。例えば、学生の連絡先を活用して採用活動へのエントリーに関する案内を送付したり、学生の総合評価を活用して採用選考過程を一部免除したりすることが挙げられる。ただし、インターンシップの募集要項に、こうした必要な情報開示を行うことが必要だ。

このほかにも、短日で就業体験がない企業や就職情報会社などのイベント・説明会を「オープン・カンパニー」と、企業がCSRで実施するプログラムなどを「キャリア教育」と定義。それぞれの実施期間は「学士、修士、博士課程の全期間(年次不問)」とし、時間帯やオンラインの活用など学業両立に配慮を求める。取得した学生情報の採用選考活動への活用は「不可」とする。

産学協議会では、インターンシップは学生のキャリア形成支援の取り組みであり、「採用活動ではない。学生は改めて採用選考のためのエントリーが必要」との認識を示す。今後は、産学官が連携して新たな基準などを設けたインターンシップに関する情報発信の強化が課題となる。企業においては、プログラムの見直しや採用のあり方の多様化を進めることが求められそうだ。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 大学・専門学校,自動車業界

日刊自動車新聞4月20日掲載