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2022年4月26日

部品メーカー 電動車向け製造工程、カーボンニュートラル拡大

部品メーカーで電動車向け部品の製造工程をカーボンニュートラルにする活動が広がっている。アイシンや太平洋工業は、電動車向けモーターやバッテリー関連部品の生産ラインに、省エネや再生可能エネルギーの活用で脱炭素化を実現した。

電池を搭載することから製造時の二酸化炭素(CO2)排出量がガソリン車よりも多くなる電動車に関連する部品生産を脱炭素化し、ライフサイクルアセスメント(LCA)視点でのカーボンニュートラル実現に寄与する。欧州で導入される予定のCO2排出量の多い部品の輸入規制などにも対応していく。

アイシンは電気自動車(EV)のコア部品である駆動モーターシステム「eアクスル」の生産時のCO2排出量実質ゼロ化を達成した。安城第2工場(愛知県安城市)で生産するトヨタ自動車「ミライ」やレクサス「UX300e」向けeアクスルで先行したが、安城第1工場(同)に新設したeアクスルラインもカーボンニュートラルにする。

安城第2工場は再エネの導入に加え、排出権取引も活用してCO2フリーを実現した。トヨタのEV「bZ4X」に搭載するeアクスルを生産する安城第1工場の新ラインには、IoT(モノのインターネット)を活用してエネルギー使用量を見える化するとともに、新たな生産技術を導入することでCO2排出量を従来比30%削減する。将来的には再エネや排出権取引を活用することでCO2排出量実質ゼロにする。

アイシンは電動ユニットに関して2025年まで、全製品を50年までにそれぞれ生産時CO2フリー化する計画だ。

太平洋工業は18日、東北・九州の3拠点で使用する全電力を再生可能エネルギーに切り替えたと発表した。ハイブリッドバッテリーケースなどのプレス製品を生産する宮城県栗原市の栗原工場は、1月からオンサイトPPA方式による太陽光パネルを設置した。年間発電量は660㍋㍗時を見込んでおり、4月から外部購入電力はすべて再エネ由来に切り替えた。

同社の若柳工場(宮城県栗原市)と九州工場(福岡県鞍手郡小竹町)で使用する電力はすべて再エネに切り替えた。今後、太陽光パネルの増設や再エネ由来電力の調達、設備の高効率化による省エネ化などを推進する。30年度までにグループ全体でCO2排出量を半減(19年比)、再エネ利用比率20%の目標達成を目指す。

主力部品の生産工程で脱炭素化に取り組む動きもある。東海理化は昨年11月、中部電力ミライズとオフサイトPPAサービス実施に向けた協定を締結。中電グループの企業が長野県に専用の太陽光発電所を設置し、スイッチ類を生産する東海理化の愛知県の本社工場に再エネ電力を供給する。今年12月に運用開始する予定。

豊田合成は海外を含めた各生産拠点で順次、再エネの導入を進めている。新たに設立する工場は「スマート工場」として再エネや省エネ生産設備を積極的に導入していく。

企業にカーボンニュートラルが強く求められる中、サプライヤー各社は、走行時のCO2排出量がゼロのEV向け部品を開発すると同時に、生産活動での脱炭素化の取り組みに動き始めている。今後、納入先である自動車メーカーも調達する部品の選定に、生産時のCO2排出量を考慮する見通し。

また、欧州では生産時のCO2排出量が一定の基準を超える製品の輸入を禁止したり、国境炭素税を課す制度を導入する見通し。サプライヤーがCO2フリーの部品を製造しなければ、事業が縮小するリスクがある。

カテゴリー 社会貢献
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞4月21日掲載