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2022年4月08日

新車ディーラーで休日拡大、月1回の日曜定休も 子育て世代働き方改革へ

新車ディーラーで、休日を増やすなどの働き方改革に取り組む事例が増えている。完全週休2日制の導入だけでなく、多くの来店が見込める日曜日を定休日にする思い切った取り組みを導入するところも出ている。各社によって対応方法はさまざまだが、社員のプライベートを含めたワークライフバランスを充実させたいとの思いは一緒。

すでに、従業員満足(ES)の向上につながるなど一定の成果が表れ始めているという。従業員の余暇を増やすことで一人ひとりの仕事の生産性を引き上げ、休日が増えることでの営業機会の減少をカバーしていく狙いだ。

山形日産(小関眞一社長、山形市)を中核会社とする山形日産グループは4月から、グループの3販社(山形日産、日産プリンス山形、山形日産販売)で第1日曜日を定休日に変更する。さらに、第1月曜日も定休日にすることで、従業員が気兼ねなく連休をとれる体制とした。

現在、全国の大半のディーラーは5月の大型連休や8月のお盆、年末年始など、特定の休日を除いて日曜日を営業日としている。月1回でも日曜日を休日にしているディーラーはまだ例が少ない。

月1回の日曜定休の導入に当たり、山形日産グループでは、数年前から週末に集中しやすいサービス入庫を平日に少しずつ移行させる取り組みを進めてきた。業務の平準化を進めることで、日曜定休による影響を最小限に抑えるためだ。実際に、制度を取り入れる段階でも店頭や同社ホームページ、郵送などを通じて、丁寧に周知を行ったという。

大きな制度改正に踏み切る背景には、働き盛りの子育て世代の従業員への思いがある。子どもを持つ従業員では、どうしても日曜日に家族のイベントが発生しやすい。営業日に休むと、来店客や同僚に迷惑がかかることを心配する従業員も少なくない。

月1回でも定休日にすれば店舗のスタッフが平等に休暇をとれ、家族サービスや地域の行事への参加などに参加しやすくなる。従業員からも「子どもと遊ぶ機会が増やせる」など、制度導入に当たって肯定的な意見が多いという。若手社員からは「普段は会えない(日曜日が休日の)友人と会うことができリフレッシュにつながる」といった声もあり、若手世代のワークライフバランスにも一役買いそうだ。

一方、東北のスバル販売会社の6社(青森スバル、岩手スバル、秋田スバル、宮城スバル、山形スバル、福島スバル)は、昨年4月から完全週休2日制を導入した。全国のメーカー直営販社のうち、完全週休2日制を取り入れるのは東北の販社が初めての試みだった。運用開始から1年経ち宮城スバル(仙台市宮城野区)の坂本和人社長は「顧客満足(CS)向上にもESの向上は重要だ」と評価する。

完全週休2日の導入により年末年始休暇などを含む年間休日は114日で、導入前に比べて6日増えた。しかし、坂本社長は「週休2日を導入したからといって業績などへの影響はない」と胸を張る。従業員を休ませることで仕事の能率が高まり、結果的にCSや営業成績の向上にも効いた格好だ。社内調査でもESの数値は改善しており、こうした流れを裏付ける。

また、東北のスバル販社では健康経営優良法人「ホワイト500」を取得するなど、第三者機関の視点を取り入れた職場環境の改善に力を入れている。今後もこうした取り組みを積み重ね、働き方改革と業績アップの両立を目指していく考えだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞4月2日掲載