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2022年4月04日

東京モーターサイクルショー バイクブームの中、新たな提案続々

東京モーターサイクルショーが3月25~27日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された。前回、前々回は新型コロナウイルスの感染拡大によってオンラインでの開催を余儀なくされ、リアルでの開催は3年ぶり。コロナ禍を契機にしたバイクブームが盛り上がる中、需要を取り込もうと各社が市販予定の新型車を展示した。

一方、新規のライダーが増えた足元の二輪車市場では「せっかくバイクに乗り始めた若者が恐怖心や楽しみ方が分からず、すぐに降りてしまう」(ヤマハ発動機販売・石井謙司社長)ケースも目立ち始めた。ブームを一過性に終わらせまいと、二輪車メーカー各社が新規ライダーに向けた提案を強化した。

■主力の新型車から変わり種の電動バイクまで

今回の東京モーターサイクルショーには二輪車メーカーや部品メーカーなど153社・団体が出展。560台の二輪車が展示された。コロナ禍もあり、来場者数は3年前の前回開催を下回ったものの、3日間で12万3439人が来場し、二輪車の魅力を堪能した。

モーターサイクルショーの主役はやはり新型車。ホンダの大型バイク「ホーク11」や原付二種「ダックス125」、ヤマハ発動機「MT―10」、スズキ「GSX―S1000GT」、カワサキ「ニンジャH2SXSE」といった新型車や市販予定車が注目を集めた。

一方、カーボンニュートラルの機運から電動バイクの展示も目立った。ヤマハ発やホンダが原付クラスの電動バイクを展示したほか、BMWは4月に日本で発売する軽二輪車規格の電動スクーター「CE04」を公開した。大手以外ではイタリアの電動バイクメーカーでモトEに車両を供給してきたエネルジカが出展。400㌔㍍以上を走行できるスポーツタイプの電動バイクを近く日本で発売する方針だ。

■若者の流出防止が課題

長らく縮小を続けてきた二輪車市場は、コロナ禍を契機に拡大傾向に転じた。日本自動車工業会によると2021年の二輪車の出荷台数は前年比15・3%増の37万8720台と増加。15年の37万2696台に並ぶレベルに回復した。

全国の教習所では、予約が取れない状況が続いており、若者を中心とした新規ライダーの流入が市場の回復を支える。今回のイベントでも、新規免許取得者や高校生の入場料を無料にし、若年層の来場拡大を狙った。

若者の間でじわりと再燃する二輪車ブームだが、足元では懸念事項もある。今回のモーターサイクルショーのプレスカンファレンスで、ホンダとヤマハ発の代表者が口をそろえたのが「若者が増えた代わりに短期間で去っていく人も増えた」こと。バイクを所有して初めて安全上の不安などに気付いて二輪車を手放すライダーが一定数いるという。

こうした中、ホンダは4月に若者を中心とした新規ライダーに体系的にスキルを身に付けてもらったり、楽しみ方を知ってもらったりするための新しい取り組み「ホンダクラブ」を立ち上げることを発表した。ヤマハ発は車両の位置・速度のデータを簡易デバイス(GPSロガー)で取得し、走行時の挙動を〝見える化〟する「YRFS(ヤマハ・ライディング・フィードバック・システム)」を本格導入する方針を説明した。

プレスカンファレンスを実施していないスズキとカワサキモータースも問題意識は共通だ。「30歳以下のライダーを対象に運転スキルを高めるためのイベント『U30』を22年度から再開する」(スズキ)、「遊び方が分からない人が多いため、昨年度から始めた『ニンジャZX25R』のワンメイクレースを拡充する」(カワサキ)と、両社ともに若者のつなぎ止めに力を入れる。

コロナ禍が追い風となり、レンタルバイクの活用や125~250ccのラインアップ強化などで各社がこれまで新規顧客の開拓を図ってきた取り組みの成果は着実に表れつつある。各社は新規組をフォローする取り組みに注力し、二輪車市場の拡大につなげる考えだ。

カテゴリー 展示会・講演会
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞3月30日掲載