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自動車産業インフォメーション

2022年1月25日

カーナビメーカー各社 生産国内回帰の動き、地政学的リスク低減

カーナビゲーションシステムメーカーが、国内回帰をはじめとするカーナビ生産の現地化を進めている。新型コロナウイルス感染拡大やサプライチェーン(供給網)の混乱、米中貿易摩擦などの地政学リスクの顕在化による生産への影響に対応する。日本市場向けカーナビを国内生産に切り替える動きも一部では出ている。

国内回帰の動きでは、人手不足や人件費の増加などが課題となるが、設備の自動化によって省人化することで生産効率を高めていく。

JVCケンウッドは、1月に国内向けカーナビ生産の全面移管に向けて動き出した。すでにインドネシアで生産していた国内向けカーナビの「彩速ナビ」をJVCケンウッド長野(白須良社長、長野県伊那市)で生産している。2022年度中には30万台程度の生産を目指し、中期的には年間で50万台程度を生産する予定だ。

同社は、カーナビの生産を国内に戻すことで地政学リスクの低減を狙う。江口祥一郎社長は「日本はロックダウン(都市封鎖)しないため、極めて安定的に工場の稼働ができる」とともに、コロナ禍による海外工場のロックダウンのリスクを回避する。今後、上海工場で生産している国内自動車メーカー向けカーナビも長野へ移管する。

国内での生産に伴って、JVCケンウッド長野に複数台の自動化ロボットを導入した新生産ラインを構築した。今後も省人化を進め「コストダウンや工数もどんどん減らし、効率化を図っていく」(江口社長)という。

パイオニアは、市販向けカーナビの大半をすでに国内で生産している。一方で、自動車メーカー向けカーナビは、コロナ禍などの影響を受けて海外における生産の一部を国内に切り替えている。国内回帰に当たり、受注状況に柔軟に対応できるよう国内工場に組み立て工程の集約を進める。

アルプスアルパインは、コロナ禍以前からカーナビを供給する地域で生産する戦略を推進しており国内向け製品はほぼ国内で生産している。国内外のカーナビ生産比率は国内が5%で海外生産が95%だ。今後の生産体制については、国内外で生産設備の自動化による省人化を進めていく。

カーナビ各社は為替変動などから生産拠点を変更する動きはあった。今回のコロナ禍や半導体不足など同時多発的な外的要因の発生は異例だ。JVCケンウッド江口社長は「生産拠点の再編で、生産量に見合ったグローバルでの生産体制を見直していく」方針を掲げサプライチェーンの混乱などに対処していく。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞1月22日掲載