会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2022年1月20日

富士経済、国内充電器市場調査 普通・急速とも35年に20年比6割増

富士経済(清口正夫社長、東京都中央区)は、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)用の充電器の国内市場が、2035年には普通充電器が20年比で59・0%増の13万2210個、急速充電器が同62・3%増の1万2700個になるとする調査結果を発表した。

PHVでは、20年にはトヨタ自動車「RAV4 PHV」、三菱自動車の「エクリプスクロス PHEV」、21年には三菱自「アウトランダーPHEV」などが発売。22年はトヨタ「bZ4X」、日産自動車「アリア」などのEVが発売を控えていることから、充電インフラの需要が高まっていくとみる。

調査では、普通充電器と急速充電器、ワイヤレス給電、充放電器の4タイプ、利用形態は家庭用、公共用、職場用、商用車用を対象とした。

国内のEV・PHV用充電器市場は、20年末時点で普通充電が市場の9割以上を占めているという。21年見込みでは、家庭用が最も多く3万7760個、次いで公共用が3万3600個だ。35年予測も家庭用と公共用で7割を占める見込み。

電動車の新車種やモデルチェンジなどで、ディーラーは公共用充電器の増設を進めており、公共用を中心に市場の拡大が進むとする。職場用や商用車用の設置数は少ないが、社用車のEV化などにより、伸長する用途の一つとみる。

急速充電器の普及は高コストが課題となっており、設置数全体の95%が公共用となっている。自動車メーカーがEVやPHV販売サポートを目的にグループカーディーラーでの設置を進めているほか、高速道路運営事業者などの設置にとどまっている。

政府は30年までに公共用急速充電器を3万基設置する計画を打ち出したが、具体的なロードマップは定まっていない。富士経済では35年予測で公共用急速充電器の普及は、1万1530個にとどまるとし「今後も(公共用が大半を占める)傾向が続く」とする。

ただ、国内でEVが本格販売された10年前後に設置された充電器の更新が22年以降に本格化する見込みで、更新需要に伴い、急速充電器の設置も進む見込みだ。

また、国内の急速充電器は出力50㌔㍗以下で欧米と比較すると大出力充電器の導入が遅れている。一方で、国内でもイーモビリティパワーがスイスのABB製品の180㌔㍗機を採用するなどの新たな動きも見られ始めている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞1月17日掲載