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2022年1月18日

首都高速道路 ETC専用料金所を25年に9割へ

首都高速道路(前田信弘社長、東京都千代田区)が、新たな時代に対応する都市高速網づくりに向けて取り組みを本格化している。自動料金収受システム(ETC)の利用に限った専用料金所を4月までに34カ所導入するとともに、2025年度にかけて現在約180カ所ある料金所の9割程度をETC専用に切り替える計画を打ち出した。

さらに都心部の渋滞抑制を狙い4月1日付で料金体系を改定し、上限料金を普通車で5割ほど値上げする。人口や企業が集中する首都圏で、自動車が今後も人やモノの移動を支えていけるように体制を見直し、日本経済の成長に貢献していく考えだ。

首都高速では3月1日に「晴海(下り)」など5カ所、4月1日に「霞が関(内回り・外回り)」など29カ所の料金所を新たにETC専用に切り替える。すでに横浜北線の「馬場」がETC専用となっており、4月以降は計35カ所の料金所がETC専用となる。

ETC専用料金所には新たに「サポートレーン」を設ける。首都高速では本線に入る前に料金所が設置されており、Uターンできない構造となっている。このため、ETC非装着車などが誤って流入した場合、同レーンで係員がインターホンによって誤進入車に対応を指示できる仕組みとする。

今春までに切り替える34カ所についてはETCの利用率が高いほか、近隣に現金車に対応可能な代替料金所があることなどを踏まえて選定した。同社は今後、順次ETC専用化を進め、30年度頃までには全線で完了させる計画だ。

首都高速がETC専用化を進める背景には、厳しさを増す人手不足が要因の一つだ。同社は今後、少子高齢化にともない料金所に配置する係員の確保が困難になるとみており、ETC専用化でその解決を図る。また、人と人の接触が避けられ、感染症の拡大抑制にもつながることも利点とする。

さらに、前田社長は「柔軟な料金設定を行える可能性もある」としており、時代の変化に合わせたタイムリーな施策の導入にも意欲をみせる。

現行の料金制度も今回、大幅な見直しを決めた。現在、ETCを利用した場合、走行距離35・7㌔㍍で通行料金の加算を打ち止めするが、これを55・0㌔㍍まで加算するように見直す。現状で普通車の通行料は最大1320円だが、これが1950円に引き上げられる。

現金での通行については新たな上限料金を徴収する。首都高速の通行料は他の高速会社に比べて割安感があり、これが長距離移動で首都高速を経由する車両が減らない一因となっていた。料金見直しで、都心部を通らない迂回ルートにも車両を分散させ、交通の円滑化につなげる狙い。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞1月14日掲載