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2022年1月17日

整備機器各社、工場の業務効率化支援 人手不足や高齢化に対応

整備機器商社が、整備工場の業務効率化に向けた提案に力を入れている。各社が販売の主力に据える車検機器では、ITシステムとの連携によるデジタル化で車検業務の生産性を高める。整備工場は作業者の人手不足や高齢化が進む中、人員確保に向けて業務環境の改善が求められている。

門型洗車機では洗車の機械化による効率化とともに、機器の複数台の導入提案で入庫車両以外にも顧客サービスや洗車ビジネスとして効率化だけにとどまらない提案も進んでいる。

バンザイ(柳田昌宏社長、東京都港区)の検査業務効率化システム「ネットワークシリーズ」は、顧客や車両の管理と帳票類の印字などをデジタル化する。オプションの画像管理システムと組み合わせて、車両を自動撮影して車両情報と紐づけた管理も可能。

同社は、車検作業の効率化やトレーサビリティーの向上などを、アフターサービスの「SMART(持続可能なモビリティアクションによる未来の実現)」化として今年から提案を進めていく。

車検機器のデジタル化は、効率化と同時にヒューマンエラーの防止やコンプライアンス(法令順守)の強化にもつなげることができる。さまざまな業界で品質や信頼性の重要度が高まる中で、デジタル化が整備工場にもたらす効果は大きいと言えそうだ。

また、業務効率化に加えて、顧客サービスや収益につながる門型洗車機の需要も拡大している。同機器はガソリンスタンドへの導入が主流だったが、ディーラーを中心に整備工場でも洗車作業の負荷低減で導入が増えつつある。設置個所は屋外だけではなく、建物の地下や上階も選べるなど柔軟性が高い。2台以上を設置し、1台を顧客専用にするケースもある。

門型洗車機も多機能化しており、イヤサカ(斎藤智義社長、東京都文京区)の高機能型の新機種は車形認識システムと初搭載した高精度のブラシ制御を可能にする「モーター駆動サイドブラシ」やサイドブラシの傾きを車高に合わせ自動制御する「最適圧傾斜洗浄システム」で車1台1台に適した洗車を実現する。

コーティング需要への対応で、ガラス系コーティングや下部洗浄に防錆効果を加えたコーティング剤など付加価値を高めた洗車技術で多様なニーズに応えている。

一方、安全自動車(中谷宗平社長、東京都港区)では、門型洗車機とともに手作業による洗車の省力化も提案している。通常の洗車作業の動作を分析し、体への負担が大きいしゃがむ姿勢の削減につながるツールで構成し、作業時間を約40%短縮、身体負荷は約65%軽減するとしている。

また、電子商取引(EC)経由のタイヤ取り付けサービスなどの普及で、タイヤチェンジャーやホイールバランサーを導入してタイヤ交換を収益源として内製化する整備工場も増えつつある。サンコー(永瀬道晴社長、東京都港区)は、2021年末に手動式のバランサーを発売した。

SUV人気などでタイヤが大径化(16~18㌅)し、チェンジャーの価格が上昇しており、バランサーに掛ける金額が限られてくる。同社は廉価版バランサーの投入で、そうした需要の取り込みを図っていく考えだ。

整備業界の採用環境が厳しくなる中で、整備工場には事業継続のために作業者の負担軽減と給与につながる収益確保を両立することが求められている。これらは作業の効率化によってもたらされており、当面の間、整備機器による効率化がトレンドの中心であり続けることは間違いなさそうだ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞1月13日掲載