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2022年1月13日

中古車サブスクサービス、徐々に浸透 手軽にマイカーオーナー

中古車を活用した定額利用サービスの存在感が高まっている。ホンダが2020年1月に開始した中古車のサブスクリプション(定額利用)サービス「マンスリーオーナー」の取り扱い店舗が急速に拡大。スバルが一部の地域で実施している「スバルサブスクプラン」も順調なほか、スズキは来年、中古車サブスクのトライアルを直営販売会社で開始する。

新車市場でもリース商品の利用が増える中、より安価で手軽にマイカーを持てる中古車サービスがユーザーの心をつかみ始めた。

「大きな期待はしていなかったが、2日で3件の申し込みが入った。思っていた以上の反応の良さに驚いた」。こう話すのは関東で営業するホンダ系ディーラー社長だ。中古車サブスクのマンスリーオーナーを昨年12月中旬に始めたところ、ユーザーからすぐに申し込みが届いた。「月2、3件程度あればと考えていた」というが、予想外の好スタートに手応えを得ている様子だ。

マンスリーオーナーは、ディーラーの中古車を税金やメンテナンス費用、自動車保険料などを含めた月定額で利用できるサービスで、最短1カ月~最長11カ月の期間であれば違約金なしで解約できるのが特徴だ。昨年12月23日時点の取り扱い店舗数は142店舗にまで拡大している。

サブスク用に登録された車両は23日の時点で404台。このうち7割にあたる288台を貸し出しているなど、高い稼働率を続けている。ホンダでは「今後も順次取り扱い店舗を増やしていきたい」とさらに規模を拡大していく計画だ。

サブスクのように中古車を活用した自動車リースの契約件数は増えている。日本自動車リース協会連合会がまとめた自動車リース契約台数(会員分)によると、昨年1~11月の「リースバック・中古車リース」契約台数は前年同期比3・8%増と伸びている。特に単月で10、11月は2桁増を記録。新車リースが毎月マイナス成長となる中、着実に市場を広げている。

新車よりもリーズナブルな価格帯で提供できる中古車の定額利用サービスは、日を追うごとにラインアップが増えている。従来はリース専業会社などに限られていたが、中古車事業を強化する自動車メーカーも関心を寄せ始めた。

昨年3月には、スバルが利用期間12カ月以上で運転支援システム「アイサイト」搭載車のみとしたプランを発売。現在は神奈川県と新潟県で提供しており「特に神奈川県は品切れ状態」(国内営業本部長の佐藤洋一常務)と好評だという。

SUV「XV」を使った月額3万円台のプランの反応が良く、5万円台の「レヴォーグ」は「足代わりとして気軽に使いたいというユーザーには、今のところなじみにくいようだ」(同)と中古車サブスクへのニーズも見えてきた。

さらにスズキも22年初頭に中古車サブスクを始める。まずは関西と関東の直営販売会社で試験的に運用し、ユーザーニーズなどを探る。将来的には業販店でも取り扱えるサービスとして仕組みを構築していく考え。「サブスクはメーカーの商売と思われがちだが、うちは販売店(業販店)も一緒にやりたい」(国内営業担当の鈴木敏明専務)と中古車を活用した新たなビジネスチャンスを狙っている。

自動車メーカーの動きが目立つ一方、既存のリース事業者の中古車サービスも好調だ。特に足元では半導体不足などによる新車の長納期化で中古車リースを選択するケースが増えている。

新車、中古車による個人向け自動車リース「定額カルモくん」を展開するナイル(高橋飛翔社長、東京都品川区)によると、同社の昨年11月の中古車リース新規契約者件数は前年同月の6・7倍になったという。ネット経由だけでなくガソリンスタンドや整備工場などでの取り扱いを拡大している効果もあるものの、同社では「納車が早い中古車リースへの需要が増えている」とさらなる市場の拡大に期待する。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞12月28日掲載