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2021年11月25日

経産省 二輪車産業の成長へ、30年までのロードマップ策定

経済産業省は、2030年までの二輪車産業政策ロードマップ(行程表)を新たに策定した。カーボンニュートラルや「2050年交通事故死者ゼロ」など社会課題に対応しつつ、「生活の足」と趣味性の両面から国内市場の活性化に挑む。KPI(成果指標)も設け、二輪車業界と歩調を合わせて30年までの達成を目指す方針だ。

経産省は13年に二輪車産業の成長戦略を初めてまとめ、翌年には官民で「二輪車産業政策ロードマップ」をつくった。数値目標として20年に「国内新車販売100万台」「日本ブランド車の世界シェア5割」を掲げたほか、利用環境の改善や事故削減、ライダーのマナー向上などを目指したものだ。

経産省や二輪車関連企業、地方自治体などで構成する会議体「バイク・ラブ・フォーラム(BLF)」も13年以降、毎年開催し、政策のフォローアップに努めてきた。

この結果、世界シェア5割は達成(19年実績で50・2%)したものの、国内販売100万台は未達(20年実績で約36万台)に終わった。ただ、国内市場の活性化や利用環境の改善、マナー向上などは継続して取り組む必要があると判断し、新たなロードマップは国内施策を中心に構成した。

新たなロードマップでは、国内販売100万台を「ありたい姿」とするものの、KPIには盛り込まなかった。一方でカーボンニュートラル実現に向けて電動二輪車や合成燃料対応車の普及を目指すほか、二輪車による事故死者(20年で526人)を30年までに20年比で半減させ、50年にはゼロにする。

利用環境の改善では、高速道路料金の適正化や免許制度の見直しを、引き続き政府や関係省庁に働きかけるほか、レンタルやシェアリングなど新たな利用形態の普及にも協調領域として取り組む。

機動性や経済性に優れる利点を生かし「生活の足」として駐輪場の整備などに力を入れる一方で、若年層と二輪車の接触機会を増やしたり、地方自治体と連携し、二輪車を軸に置いたインバウンド需要を獲得したりと趣味の道具としての利用も促進する。世界に誇る二輪車文化の醸成も目指す。

日本は過去に年間700万台の生産と300万台の国内販売を誇る二輪車大国だったが、生産ではインドや中国に主要国の座を譲り、国内市場は少子高齢化による需要減や「3ない運動」の逆風、規制対応による車両価格の上昇などで縮小を続けてきた。日本自動車工業会の調査によると、ライダーの平均年齢は54・7歳と高齢化も進む。

一方、近年は軽二輪車が若者層や女性に人気で、コロナ禍の密を避ける動きも足元では追い風だ。技術進歩で安全性や快適性も高まり、電動化の動きもこれから本格化する。国内市場の量的・質的な成長に向け、経産省と二輪車業界は引き続きタッグを組む。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞11月22日掲載