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2021年10月28日

国交省、先進安全自動車(ASV)推進検討会 システムの判断・操作優先

国土交通省は20日、「先進安全自動車(ASV)推進検討会」を開催した。2021年度からスタートした「第7期ASV推進計画」に沿って、先進技術の開発や実用化、普及につながる施策を検討する。第7期では従来の運転者主体の先進運転支援の考え方から、システムの判断や操作を優先させることで安全性を引き上げる技術のあり方を検証していく。

本格的な自動運転時代を視野に入れた車両安全技術の議論に着手することで、交通事故による犠牲者数の大幅な削減につなげる。今後、検討会で議論を重ね、各種新技術の要件を示したガイドラインなどの策定を目指す。

第7期として初めての開催となった推進検討会では、5カ年の計画期間中の基本テーマとして「自動運転の高度化に向けたASVのさらなる推進」を定めた。これに基づき4つの検討項目を設定。この一つとして「ドライバーの操作に対してシステムの操作を優先させる安全技術のあり方」を検討する。

交通事故の中には運転手の操作だけでは事故が回避できないケースも数多く想定される。こうした場合に、高度化した自動運転技術を活用してシステムが優先的に車両を制御する仕組みを定めたい考え。どのような場面で、どのように作動させるかまとめる。

「自動運転車が備えるべき安全の範囲・水準の探索のための考察」も行う。いかに自動運転が進化しても、あおり運転や逆走車、自然災害といった想定外の事象でシステム側が安全性を担保できない場面が出てくるとみられる。

こうした場合に、自動運転システムがどこまで対応すべきか、社会的な受容性を含めて要求水準を探る。「通信・地図を活用した安全技術の実用化と普及に向けた共通仕様の検討」にも取り組み、車車間や路車間通信に加え、高精度地図とも連携することでより安全性を高められる高度な技術の仕様なども検証する。

すでに普及しつつある緊急自動ブレーキなど先進運転支援システムについても取り上げる。「誰もが使用する技術となったASVの正しい理解・利用の徹底と効果的な普及戦略」を議論し、現在のシステムの機能限界などをユーザーに正しく周知する方策などを考えていく方針だ。

先進技術の導入による交通事故の被害者削減を目指すASV推進計画は1991年度にスタートし、今年度で31年目に入った。昨年度で終了した第6期計画では、ドライバーの異常を自動検知するシステムやトラックの無人隊列走行などさまざまな技術に関して基本設計書を策定するなど成果を上げている。

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞10月21日掲載