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自動車産業インフォメーション

2021年9月14日

国交省、旅客運送もデジタル化を推進 22年度に新たな調査事業

国土交通省はデジタル化による自動車運送の生産性向上の取り組み強化に向けた検討に入った。デジタル技術の導入による業務効率化を実現することで次代に対応した公共交通網の確立を目指し、2022年度に新たな調査事業に乗り出す。労働環境の改善が急がれるトラック運送業でもデジタル技術の導入拡大による働き方改革の可能性を探る。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、旅客事業者では人流減が経営にダメージを与えている。国交省では各種調査を通じ、日本経済を支える自動車運送の持続的成長を実現する道筋を早期につけたい考えだ。

新規事業の「ポストコロナにおける持続可能な旅客運送事業の構築」は、22年度当初予算の概算要求で6千万円を計上した。バスやタクシー事業者では人口減による輸送需要の減少やドライバー不足などコロナ前から続く課題に、コロナ禍による移動自粛が重なり厳しい状況に追い込まれている。

こうした危機の中でも人の移動を支える公共交通が持続できるように、デジタル機器の導入による労務負担の軽減やサービスの高度化への方策を探る。共同運行や合併など活発になっている事業再構築の動きも視野に入れ、事業規模や特性に応じたモデルケースを策定していく。

トラック運送業でも「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の調査を強化する。国交省では22年度の概算要求で「トラック運送業における働き方改革の推進」について、21年度予算から1500万円増の1億円を要望した。

この中で「DXを通じた働き方改革に関する調査」を3千億円以上かけて実施する意向だ。トラック輸送は物流事業者や荷主、運転手などさまざまな分野でデジタル技術の拡大に取り組んでいる。今回は特に、最適な集荷ルートの策定など「ドライバーの働き方に直結するものを調査したい」(国交省)考えで、ドライバー不足の一因にもなっている長時間労働の是正につなげる。

コロナ禍による足元の事業者支援策については関係省庁と連携し、別途拡充していく方針。22年度の概算要求でもコロナ影響を踏まえた地域公共交通の維持に必要な経費は現時点で金額を定めない「事項要求」を行った。今後の感染症の影響を見極めつつ、事業継続や雇用の維持に十分な予算の確保にも取り組み、幅広い地方で移動手段の確保にも全力を挙げる計画だ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞9月9日掲載