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2021年9月10日

政府、成長戦略推進担う「デジタル庁」発足 自動車産業も支援に期待

政府が成長戦略の重点に置くデジタル化の推進を担う「デジタル庁」が1日発足した。同庁は各府省の情報システム構築に初期段階からかかわり、関連予算を含めデジタル化で強い権限を握っている。こうしたリーダーシップを生かして、民間を合せたデータ連携の環境を整えデジタル化の相乗効果を引き出すとともに、システム投資の合理化につなげることを目指す。

自動運転の高度化にはさまざまなデータ連携が欠かせないので、自動車産業の支援も期待される。また、府省それぞれが持つ独自システムの数は国土交通省が最も多いことから、データ連携による自動車分野のメリット創出が注目される。

デジタル庁の2022年度当初予算の概算要求は5426億円で、このうち「情報システムの整備・運用に関する経費」が5303億円と大半を占める。この予算で前身の「内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室」が進めてきた各府省の共通システムなどの整備を進めるとともに、22年度に各府省が持つ独自システムの多くをデジタル庁の管理下に置く体制を構築する。

各府省の情報システムには予算づくりから関与し、同庁が一括要求。予算執行では同庁が詳細をチェックした上で各府省に予算を移し替えるなど、情報システム関連で主導権を握った。

また、デジタル庁の中心事業となる情報システム関連の予算には「マイナンバー(マイナ)カード」の機能拡大に向けた事業も含まれる。22年度から順次予定するスマートフォンへのマイナカード機能搭載、24年度の自動車運転免許証との一体化などの計画を打ち出している。

政府は多くの行政手続をスマホだけで完結できるサービスの実現を目指しており、この土台となるマイナンバーカードの活用範囲拡大がデジタル庁の重要な役割となりそうだ。

デジタル庁の人員は約600人で、当初計画に対し約100人多い体制でスタートした。このうち、主力業務に携わる民間人材は約200人となった。ただ、同庁の業務はさらに範囲が広がることが確実視されており、一層の人材確保が喫緊の課題となる。このため、職員を通年採用とし、必要な人材をタイムリーに登用できる柔軟な組織づくりを目指す方針だ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞9月2日掲載