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2021年9月13日

日本郵船、自動車専用船積み付け 計画作成業務を自動化

日本郵船は2日、自動車専用船の積み付け(限られた空間の中で効率よく荷物を配置すること)計画作成業務の効率化を狙い、富士通の量子技術を活用した高速計算技術「デジタルアニーラ」を導入し、実業務でトライアル運用を開始したと発表した。

人手による作業では1隻あたり最大約6時間かかる計画作成が2・5時間に短縮でき、年間では4千時間ほどの労働時間削減を見込む。両社は今後、計画作成のさらなる精度向上を図り、22年4月に本格運用開始を目指す。

デジタルアニーラは、量子技術に着想を得た複数の高速化技術。現在の汎用コンピュータでは難しい、膨大な組合せの中から最適なパターンを導き出すことが短時間でできるという。具体的には日本郵船の社内システムから積み込む車両のサイズや積み降ろす港の情報を取り込み、デジタルアニーラが車両の積み付け方の最適解を算出することがベースの技術となる。

この技術を活用して、クラウド上に積み付け計画作成業務の自動化システムを構築した。例えば最も重要とされる車両の最適積載位置を計画する作業「席割り作業」が30分で自動的に完了できるという。

自動車専用船の船内では、自動車を1台ずつ決められた間隔で、あらかじめ作成された積み付け計画に沿って積載していく。ただ、車両の積み付け方の候補には膨大なパターンがあり、それらの中から船の最大積載量に近い積載率で車両を積み込んだ上で、積み降ろし時に安全に作業できる船内スペースを確保するなど積み付けの様々な条件を満たす計画を作成するには、非常に複雑なプロセスが生じる。このため、労務環境などの改善に向けて自動化が課題となっていた。

両社は、デジタルアニーラの導入によって労働時間が削減できるほか、急な計画変更への迅速な対応、プランナーの経験値や技量の差による積み付け計画の品質バラつき防止、自動車輸送事業における温室効果ガス排出量の最小化など、労務、サービス、環境対応でさまざまな効果が創出できるとみている。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞9月6日掲載