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2021年9月09日

都市部で高級車レンタカーサービス コロナ禍、新たな需要獲得へ

東京都内を中心に輸入車や国産高級車などでレンタカー需要を喚起しようとする動きが活発化している。オリックス自動車(上谷内祐二社長、東京都港区)は、輸入車や国産高級車の利用者を対象に自宅などへ車両を届ける新たなサービスを首都圏エリアの一部店舗で8月から開始した。コロナ禍で公共交通機関の利用を控えようとする動きもある中、スポーツカーなどでドライブを楽しみたい消費者のニーズを取り込む狙いだ。

インポーターが展開するレンタカーサービスも利用者を順調に拡大するなど、日常生活で楽しめるレジャーの一つとして高級車レンタカーへの関心が高まりつつある。

オリックス自が開始したのは「高級車レンタカーデリバリーサービス」。オリックスレンタカーに加盟するタステック・レンタリース(宮本正宣社長、東京都品川区)が運営する東京都内と埼玉県の6店舗で8月20日から開始した。

首都圏で16拠点を展開する同社は、従来から輸入車を豊富にそろえているのが強みの一つで、デリバリーサービスは顧客の要望に応える形で立ち上げた。利用者の指定場所まで届けるなどスタッフの手間は増えるが、新たな顧客獲得につながると判断。料金とは別に掛かる配送料を2200円(消費税込み)に設定し、サービスを開始した。オリックスレンタカーの店舗でデリバリーサービスを行うのは初めてだ。

同サービスは、外国メーカー車や国産高級車、スポーツカーの利用に適用し、同社が保有する約80車種約450台を対象としている。まずは3カ月間実験的に運用し、利用状況や本格展開に向けた課題を洗い出す計画だ。

高級車によるレンタカーは、インポーターも取り組んでいる。メルセデス・ベンツ日本(上野金太郎社長、東京都品川区)が系列ディーラーなどと展開する「メルセデス・ベンツ(MB)レント」は、2019年1月にサービスを開始し、拠点数が8月の段階で29拠点に増えた。

六本木や品川駅近くなど都心部の拠点を中心に予約が取りにくい状況が続いていると言い、「公共交通機関を避け、車で移動しようと考える利用者も多い」(担当者)という。今後は、予約が集中する都心エリアへの供給体制を強化していく考えだ。

ポルシェジャパン(ミヒャエル・キルシュ社長、東京都港区)が19年12月に開始した「ポルシェドライブレンタル」も好調だ。当初1拠点でスタートした同サービスは、今年2月から4拠点に拡大。7月の利用者数は2月のおよそ5倍に増えたという。

利用者の約80%がポルシェに乗るのが初めてのドライバーとなるなど、車両販売だけでは得られない新たな顧客との接点につながっている。8月には、電動スポーツカー「タイカン」も利用できるようにするなど、ラインアップを強化。今後もプレミアムカーへのニーズは高まると見ており、東京都以外への拠点展開も検討していく方針だ。

レンタカーは、新型コロナウイルス感染拡大によって人の移動が減少した影響で、厳しい市場環境が続いている。今後もインバウンドを含めた観光需要の回復への見通しは立っていない状況だ。

こうした中、「マイカーを持たない層が多い都心部を中心に3密を避ける移動手段として利用が増えている」(都内のレンタカー店店長)など、新たな需要に着目する動きも出始めた。オリックス自も新たに開始したデリバリーサービスのニーズを実際に確かめ、他店舗への展開も視野に入れていく。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞9月1日掲載