2021年9月10日
ボッシュ、世界に通用する人材を育成 インターンシップ積極活用
ボッシュがグローバル人材の育成に力を入れている。アジアの海外法人と連携し、日本の理系学生を送り出す「グローバルインターンシップ」の活用を積極化している。今年(8月23日~9月1日)は、コロナ禍の影響で現地渡航は見送ったものの、ソフトウエア開発などをオンラインで行うプログラムを用意。参加した学生はグローバルメガサプライヤーのワークスタイルを体験した。
世界中でビジネスを行う日本の自動車業界にとってグローバル人材の育成は欠かせない。ボッシュは日本の大学事情に合わせたインターンシップ制度を整えることで、ワールドワイドで活躍できる人材育成を学生時代から進めていく。
グローバルインターンシップは2016年にスタートした。ボッシュの日本法人独自の取り組みで、ボッシュのベトナム、インドの現地法人に出向き、ECU(電子制御ユニット)ソフトウエアの開発やコーディング、実車を使用したソフトウエア解析、テストなど実務に近い体験をしてもらうのが特徴だ。これを2週間にわたって体験できる。
日本法人はベトナム、インドの両法人に業務の一部をアウトソーシングしており、両法人とは業務上のやり取り、従業員同士のコミュニケーションを日常的に行っている。ベトナムについては従業員の平均年齢が20歳代後半と若く、双方ともに刺激し合える環境が整っていることから、16年の初回から毎年送り出している。
業務上のサポートは「現地法人の従業員がメンター(指導員)としてさまざまなフォローを行い、日々の成長を支える体制を整えている」(市山千奈美人事部門採用・人材マーケティンググループマネージャー)。昨年はコロナ禍で中止したが、これまで80人を超える学生が参加している状況だ。
今年は初めて完全オンラインで実施した。渡航時間が省けたため期間は10日間とした。日本とベトナムをネットワークでつなぎ、15人の参加者はクロスドメインコンピューティングソリューション事業部が手がける車載インフォテインメントシステム (IVI)の開発などに取り組んだ。
今回はリモートワークがメインとなるため、「ソフトウエアシミュレーションを通してIVIシステムの原理や特徴を学び、よりシームレスな接続を目的とした新たなソフトウエアツールの開発を行った」(同社)という。
同社がドイツ本国にもないグローバルインターンシップを積極展開するのは、学生が就職先を選ぶに当たり、外資系という意識的なハードルを下げる狙いがある。市山マネージャーは「学生には社風や企業文化、働きやすさを感じてもらい、グローバルで働くということをイメージした上で自分に合う会社をどうやって探せばいいかのヒントを与えたい」と考えている。
また、16年の開始当初から「家庭の経済事情で海外に行きたくても行けない学生をサポートしたい」(市山マネージャー)という思いもあるという。
ボッシュは現在、2週間のグローバルインターンシップに加え、約1カ月間行うシーズナル、3カ月以上勤めるスタンダードの3つのインターンシップを用意している。
グローバルインターンシップ生にとっては、同世代の学生がより長期のインターンシップに取り組む姿勢を見ることで、シーズナル、スタンダードのインターンシップにステップアップするきっかけになるという。より長く、より深く業務に携わる体制を整えているわけだ。
「結果としてボッシュに入らなくてもいい。なぜなら新卒時だけがお付き合いじゃないから。出会ったタッチポイントを大事にして将来へとつないでいく」(同)―。ボッシュは世界各国の自動車メーカーに部品を供給するメガサプライヤーの役割として、今後も自動車業界で活躍できるグローバル人材の育成に携わっていく。
カテゴリー | 展示会・講演会 |
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対象者 | 大学・専門学校,自動車業界 |
日刊自動車新聞9月4日掲載