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2021年9月07日

いすゞ、22年「創業の地」から横浜に本社移転 次の100年へ心機一転

いすゞ自動車が2022年に「創業の地」から本社を移す。東京都品川区・大森の現本社周辺に点在する関連会社や事業所を横浜市の新本社に集約し、グループ企業間での連携強化や生産性向上を図る。創業から100年が経過した今、トラックメーカーとして人材不足や脱炭素化といった物流危機に直面するいすゞ。新天地で次の100年に向けた新たなスタートを切る。

いすゞが現本社の所在地で事業を開始したのはいすゞの前身である「東京瓦斯電気工業」が大森に工場を設立した1917年。91年に大森工場の跡地に現在の本社ビルを設立した。2001年に悪化した経営を立て直すため、ビルは第一生命保険に売却したが、その後も本社として活用してきた。

そのいすゞが本社を移転する。新本社が入居するのは横浜市みなとみらい地区に建設中の22階建て高層ビル「横濱ゲートタワー」のうちの11フロア。いすゞ本体に加え、いすゞ本社の周辺に事業所を構えるいすゞリーシングサービスやアイ・シー・エルなど関連企業14社(団体含む)が新本社に入る。

いすゞが創業の地から出るのは、老朽化が進んだIT環境の改善などによる生産性の向上に加え、グループ企業の連携を強化するためだ。オフィスが異なっていた従来は本体と関連会社の間に垣根が存在していたが、新本社では関連会社の大半を1拠点に集約。フロア内もフリーアドレスなどを取り入れ、グループの従業員同士の連帯感の強化やコミュニケーションの円滑化を狙う。

移転先には異業種を含めた大手企業の研究開発拠点やスタートアップ企業の集積地となるみなとみらい地区を選んだ。本社の移転を契機に外部企業との交流活発化や人材確保にもつなげる考えだ。

いすゞの片山正則社長は「これまでのいすゞは『静止抵抗』で最初に動くときの摩擦が大きかった。新本社では無駄な摩擦が少ない『転がり抵抗』に変える」という。

いすゞは自動車メーカーの中でも歴史が長く、古い企業体質を指摘されることもあった。ボルボとの提携やUDトラックスの子会社化、トヨタ自動車・日野自動車との商用車連合の発足と他社との協業を加速する一方、本社移転でグループ内の結束力を強化し、物流改革に挑む。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞9月1日掲載