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2021年9月01日

国交省MaaS支援策、社会実装をより重視 感染対策の両立必要

コロナ禍を経てMaaS(サービスとしてのモビリティ)に求められる役割が変化しつつある。キャッシュレス決済の導入や混雑情報の通知など、感染防止を重視した施策のニーズが増している。

国土交通省が補助金支援を行っている「日本版MaaS推進・支援事業」でも、今年度は感染防止も踏まえ、「実証ではなく、実装を想定した事業を採択した」(国交省)。MaaSには従来から求められている移動のシームレス化に加え、足元で重視されている感染対策の両立が必要になってくる。

日本版MaaS推進・支援事業では今年度12事業を選定した。取り組み3年目となる今回は、社会実装を念頭に置き、より実現性の高い事業に絞った。

感染防止策を講じている事業が選定されるケースが目立った。京浜急行電鉄などが神奈川県横須賀市エリアで手掛ける観光型MaaS「三浦Cocoon」では、特定の場所やルートに人が密集することを避けるため、ナビゲーション上でルートを分散させる「観光ナビ」を活用する。車だけでなく、自転車や徒歩の利用者向けにも展開することで、移動全体の均一化を目指す。

小田急電鉄などが参加する「川崎・箱根観光MaaS実証実験」では、川崎・箱根間の電車、バスのチケットを電子化する「EMot」(エモット)を導入。決済のシームレス化を進めることで、非対面・非接触を重視する層の取り込みを図る。

これまでMaaSに求められていたのは、過疎地での移動手段の確保や、ラストワンマイルをつなぐ日常の足としての役割だった。近年は公共交通機関に加え、レンタサイクルや電動キックボードなど小型モビリティの導入事例も増えてきており、手段の多様化が進んでいる。

一方、昨年から続くコロナ禍の影響で公共交通機関や相乗りサービスを避ける人も増えてきており、MaaSにもウィズコロナに合った新しいあり方が必要になってくる。新常態(ニューノーマル)を見据えた新生MaaSの立ち上げが急がれる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞8月26日掲載