会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2021年9月01日

大林組とトヨタが協業 次世代型道路構想、地下空間に無人搬送車

大林組は、トヨタ自動車未来創成センター、豊田中央研究所(中西広吉所長、愛知県長久手市)と共同で、地下空間で無人搬送車(AGV)を走らせ物流を効率化することを盛り込んだ次世代型道路構想「ダイバーストリート」の展開に乗り出した。電力線や通信線、上下水道などのライフランをまとめて収める共同溝や豪雨時の雨水貯留などが可能な多機能空間を道路の地下に建設する構想。

ライフラインを地中に埋め込むと、自動運転の路車間通信装置や電気自動車の走行中給電など次世代車向けインフラの設置スペースを路上で稼ぎやすくなりメリットが大きいという。すでに地下空間の建設コストを従来から4割減らせる工法を開発しており、実現に向けて提案を活発化する。

ダイバーストリートの特徴は、まずライフラインをまとめる共同溝を配置すること。ライフラインの点検・補修に必要な道路工事によって渋滞が発生しがちだが、ライフラインを地下空間にまとめることでその発生をなくせるようになる。さらに地中を雨水貯留にも利用できるように設計し、災害時の事業継続計画(BCP)の支援にもつなげる。

地下空間建設では割高なコストが課題になりがちだった。3社は従来と比較して施工コストを約4割減らし、工期を約2割短縮できる工法を確立し、ダイバーストリートの実現性を高めた。具体的には、まず従来は地下建設の作業場所を確保するため打設していた「仮設鋼矢板」を、そのまま地下空間の構造材に利用できるよう設計を工夫した。

これにより工期とコストで大きな比重を占めていた鋼矢板の引き抜き作業が不要にできる。さらに工場で製作する部材が床版のみとなるため、材料コストや運送費が削減できる。

3次元コンピューターグラフィックスを使った模型「デジタルモックアップ」の活用と土木設計技術の応用によって、車両走行時の構造解析、振動・騒音解析を行い、新施工法の有効性と実現性を確認した。大林組はダイバーストリートを実現することで将来のスマートシティづくりへの貢献を目指す。

カテゴリー 社会貢献
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞8月23日掲載