2021年8月05日
日本自動車車体補修協会 電子化対応の整備や修理を調査研究
日本自動車車体補修協会(JARWA、吉野一代表理事)は、ボッシュ(クラウス・メーダー社長、東京都渋谷区)などと車の電子化に対応する整備や修理の調査研究を始める。
ワーキンググループ(WG)を設置して車体寸法の測定など車体補修とボッシュの電子技術の知見で、電子制御装置整備の最適化や事故時の車両挙動を記録するイベントデータレコーダー(EDR)を活用した損傷診断の有効性などを検証する。自動車整備の新たなソリューションの創出につなげる。
7月29日付でJARWAにボッシュが正会員として入会。JARWAは2021年度(21年8月~22年7月)の事業計画に基づき、既存正会員を加えたWGを電子化対応部会に設置する。
両者が知見を交えるのは、先進運転支援システム(ADAS)などの電子制御装置整備で車両整備と車体整備の垣根が薄れているためだ。車体整備には電子化など車両の知識が、整備や損傷診断には車体の知識が求められるようになった。
調査研究では、JARWAの衝突安全ボディーや車体材料、車体寸法と、ボッシュの電子制御ユニット(ECU)診断やエーミング(機能調整)作業、EDRデータの知見などを組み合わせ時代に即した整備プロセスの確立を目指す。
具体的には、エンブレムが車体中心に位置するかを判定可能なボディー計測ツール「JARWAバランスゲージ」を活用する。複数の自動車メーカーがエーミング作業の基準とする車体の中心は、前後のエンブレムを結ぶ線と定めている。ただ、JARWAの独自調査でフロント部に接触歴がある車両の複数に歪みが認められたという。
事故修復車のみならず、エーミング作業にはボディー寸法の正確さが求められる。そのため、ボディー寸法の計測の必要性の検証を含めたエーミング作業の最適な作業場環境を確立する。
また、事故車両のEDRデータとボディーの計測データなどを蓄積し、EDRデータから事故車両の損傷度合いを推測する手法の構築も目指す。これにより、損害調査などによる修理金額の見積もりを効率化できる可能性があるとしている。
こうした調査研究を各社にフィードバックし、事故車の損傷診断や事故修復車の整備に関するソリューションの創出に生かすほか、整備の新たなノウハウとして情報発信していく考えだ。
カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
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対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞7月29日掲載