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2021年7月16日

EVスタートアップHWエレクトロ 軽商用車投入、配送需要取り込み

軽商用車の電気自動車(EV)の実用化が本格化する。小型電気トラックのファブレスであるHWエレクトロ(蕭偉城{ショウ・ウェイチェン}社長、東京都江東区)は、軽規格の商用EVを年内に開発して市場投入する。脱炭素時代の宅配などラストワンマイル配送用として需要を見込む。

11月に納車を開始する小型商用EV「エレモ」をベースに軽自動車の規格に改造する。また、2023年までに独自開発した軽商用EVも市場投入する計画。軽EVはスズキやホンダも開発しており、軽自動車のEVシフトが本格化する。

HWエレクトロが12日都内で開催した事業戦略発表会で、蕭社長が軽自動車市場への参入を明らかにした。24日から受注を開始する小型電気トラック「エレモ」は軽規格よりも全長が約500㍉㍍長いため、エレモをベースに「貨物軽自動車運送事業」としての認可が受けられるサイズに改造したものを開発、年内に市場投入する。

軽商用EVの独自開発にも乗り出す。独自の軽商用EVの設計に着手しており、23年に国内市場で販売する。生産は引き続き中国の受託製造メーカーに委託したEVを輸入して販売する。

エレモの価格は、航続距離120㌔㍍のグレードで218万9千~273万9千円、蕭社長は「(航続距離)1㌔㍍当たり1万円程度で販売したい」とし、価格にシビアな軽自動車ユーザーの需要に合わせて価格競争力も高める。

現在、国内で販売されている軽商用EVは、三菱自動車の「ミニキャブ・ミーブ」のみ。これまでは航続距離の短さなどから敬遠され、販売が低迷していた。昨年末に日本政府が50年のカーボンニュートラルを宣言したことで、配送事業者などからの引き合いが急増しており、三菱自はバッテリーを刷新した改良版を数年以内に投入する計画だ。

また、スズキやホンダなども軽EVの開発を本格化している。スズキは25年までに技術を確立、30年までに全面展開する計画。ホンダは24年に軽EVを市場投入する計画を打ち出している。

ホンダ・日本本部長の安部典明執行役常務は「法人は早くEVが欲しいと言っている。そこに早く応えることでチャンスがあると思っている」とし、軽EVの中でも商用車の需要が高まると見ている。運送大手の佐川急便もベンチャー企業と手を組んで22年から独自の軽EVを稼働させる計画だ。

EVスタートアップのHWエレクトロは、国内自動車メーカーが軽商用EVの販売を本格化する前に市場でのシェアを拡大する方針で、カーボンニュートラルへの取り組みを強化する運送事業者などにも積極的に売り込む。エレモの軽商用EVは22年に1500台を販売する強気の計画を掲げる。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞7月13日掲載