会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2021年7月15日

「社用車」シェアの市場拡大 従業員や地域住民へサービス

企業が営業用などとして使用する社用車を従業員や地域住民とシェアするサービスが広がっている。しぇあくる(後藤善午社長、名古屋市中区)は企業が使用するリース車両などを従業員とシェアできる仕組みの外販を積極化しているほか、トヨタ自動車も同様のサービス「ブッキングカー」を全国展開する。

NTT東日本も営業車を近隣住民に貸し出す「ノッテッテ」を昨年5月のスタートから1年余りで9都県まで広げるなど、稼働率が低い社用車を有効活用する動きが活発化している。

しぇあくるが提供する独自の社用車シェアリングサービスは、会社と個人が1台の車を共同使用する契約を結び、従業員はプライベート利用分に応じて維持費の一部を負担するのが特徴だ。昨年7月の時点では30人だった同サービスによる共同使用契約者数は、この1年(6月末現在)で250人にまで拡大した。

同社の仕組みは、関西電力やAIG損害保険、JA三井リースオートなども自社客に向けた商品として採用されている。損害保険ジャパンとは、福祉施設が利用する福祉車両を施設利用者とシェアするための共同実証実験を開始。サービスのすそ野拡大に向けた取り組みを加速している。

トヨタが全国展開に向けて準備を進めるブッキングカーも、しぇあくると同様に「共同使用契約」の考えを活用して設計されたサービスだ。システムを開発したトヨタモビリティサービス(村上秀一社長、東京都中央区)が昨年11月から取り扱いをはじめ、約200社から引き合いがあったという。

すでに全国のトヨタ販売店、トヨタレンタリース店を対象に取り扱い店としての募集を開始しており、準備が整い次第、導入店舗は増えていく見通し。2025年度までに車両ベースで2万5千台との契約を目指しており、販売店網が充実するトヨタ系ディーラーでの取り扱いが増えれば、社用車シェアの市場も一気に加速する可能性がある。

また、NTT東日本もグループで全国に8千台ある業務用車両の有効活用を進めている。昨年5月に神奈川県川崎市にある自社ビルの駐車場で営業用車両1台を地域住民も利用できるようにした。同様のステーションは1日時点で神奈川をはじめ、東京、埼玉、宮城、青森、秋田、栃木の1都6県9カ所に開設しており、稼働台数は19台になった。

今後は、営業用車両などを多く抱える外部の企業との連携も模索し「社用車を空き時間に地域とシェアリングすることで『地域の足』として貢献していく」(広報)と、さらなる拡大に意欲的だ。

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞7月6日掲載